夏「…っ。いった…。」


寝起きから激しい頭痛。

全身の痛み。倦怠感。


身体を起こそうとしたけど重力に今の私は勝てなかった。


夏「…ああそうか。昨日…」


そう、昨日。


レッスン中、寒気がした。

ちょっとフラフラし始めた。


でもライブのための振り入れをしないといけないから、疲れだろうと自分に言い聞かせた。


でも、ダメだった。


ひ「夏鈴。」


夏「…はぁっ、はぁっ。…何?」


ひ「体調悪いんやろ?」


夏「いや、疲れとるだけや。」


ひ「顔色悪いよ。休も?」


夏「大丈夫やっ…て」ギュッ


天「あっつ!!大丈夫ちゃうて!めちゃ身体あついやん!マネージャーさーん!」


夏「ああっ!もうっ!!」


保「天ちゃんのどデカボイスにはかなわんなぁ。ほら、夏鈴ちゃん、もう諦め?病院行っておいで?」


夏「ん…。」


天「っと!え?夏鈴??」


ひ「夏鈴!」


本当は気付いて止めて欲しかったのかもしれない。


止めてもらえたことと、周りのあたたかさの安心感に包まれ、全身の力がふっと抜けた。そして、段々と周りのメンバーの声が遠くなっていった。




結局その後、マネージャーさんに付き添われて病院に行くと、インフルエンザとの診断を受けた。


車の中でもマネージャーさんに「きっと身体が休息を求めてるんだよ。ゆっくり休みな。」と言われた。


部屋に入って動けるうちにお風呂に入って寝る準備をした。


そして寝て起きて今に至る。


でも、寝てる間も頭痛と寒気がして正直寝た気はしなかった。


でもまあ、熱を下げるためにも何か食べて薬を飲まなければならない。


そう思い、重い身体を動かして冷蔵庫へ向かう。


…普段家事をしない自分を殴りたくなった。


何も無い。


まあそうだよなぁ。仮にあったとしても、料理をする気にはならない。


…とりあえず、水で…


と思い、ウォーターサーバーの方に向かった時だった。


ピロン


hono:おはよ!今、冷蔵庫開けて、食べ物なくて水でえっか、とか思たろ!あかんよ!玄関に食料置いてるから!食べて!


え?なんでわかった?


玄関のドアを開けると、バックの中に食料とスポーツドリンクが大量にあった。


これは、病気治ってからも生活できるレベル(笑)


hono:昨日天ちゃんと井上と買いに行ってん!でも起こすの悪いしなって思ってさっき置いといた!


ありがたい。


あ、天と言えば、昨日私に抱きついてた。インフル移ってなかったらいいけど…


ピロン


ten:やほー!私なら元気すぎるくらい元気だから!心配しないで自分のこと心配してよー!


え、天まで?なんてタイミングのいい…。


ten:あ、井上から伝言。どうせペットボトルのフタ開けれんやろうから、ペットボトルのフタ開けるやつも入れとくなー!って(笑)


いや、井上に言われたかない!!

腕相撲の最弱どっちやったか忘れたか!?



なーんて色々ツッコミも入れつつ、ありがたくお粥を食べ、薬を飲んでベットに潜り込んだ。


さっき起きたばっかりなのに、すぐに睡魔が襲ってきて、次起きた時には熱が下がってたらいいなぁなんて思いながら意識を飛ばした。