banditシリーズ




玲side


コンコン


ガラガラッ


井「失礼しま〜す


玲「あ、いの。」


井「ひかる先輩は??」


玲「見ての通りだよ。まだ目を覚ましてない。」


井「なぁ?あの日何があったん??」


玲「あの日は……






あの日。

ひかる警部から位置情報が送られてきた。





ここ3年くらい、全く夏鈴の足取りを掴めていなかった。


取り逃し、屋上から飛び降りたあと、パッタリ情報が無くなった。だから死んだのではないかとも囁かれていた。


そんな中、夏鈴のではないかと思われる犯行が始まった。でもその人物は黒髪ロングらしく...私が見た夏鈴はショートのウルフカットっぽかった気がするんだけど...。だから模倣犯では無いかとも言われた。


だけど、警部は時々すごくやる気を出す。あの、夏鈴を追ってた日々のような。


だから、あれから色んな盗みの事件を捜査してきたが、ひかる警部を見ていると、まだ夏鈴は生きていて、夏鈴が関わってる案件もあるんじゃないかと思うようになっていた。




すると今朝、いきなり「今日の夜、いつでも動けるように待機しといて。」と言われた。


だから勇気をだして「夏鈴案件ですか?」と聞いたのに、「いいから。よろしく。」としか答えてくれなかった。


夏鈴を屋上で取り逃したあの日から、ひかる警部は何か隠し事をしている。情報は全部流すからと言っていたのに...


いや、正確にはあの日より前、夏鈴と組んでいた時からだったのかもしれないが


まあ、ともかく私はひかる警部の部下だから。ひかる警部の言うことを聞くしかない。






だから位置情報にある場所に急行した。






...そして目の前に広がる光景に目を疑った。






片手に拳銃を握ったまま血を流しながら倒れているひかる警部。


その下には黒髪でポニーテールをした少女が下敷きになっており、


その少女と手を握っている黒髪ショートの女性は反対の手で拳銃を握って倒れていた。


黒髪ショートの女性の奥には、血の跡がずっと続いていた。



まるでここまで這ってきたかのように。



みんな血だらけだった。どれが誰の血か分からないくらい血溜まりが出来ていた。


だが、全員微かに胸が動いている当たりまだ生きているようだった。



玲「ひかる警部!!誰か!急いで救急車を!!」



そう言いながら出血点を探し、応急処置を施そうと近寄った時に、黒髪ショートの女性に見覚えがあることに気がついた。




この人...夏鈴?




やっぱりひかる警部は今日、ここで夏鈴に会える何かしらの確信があったんだ。


そう思っていた頃、救急車が到着し、3人は病院へと運ばれて行った。






玲「...てな感じ。」


井「ほー。そしたらあの黒髪ショートの人が夏鈴なんや。初めて見たわ。」


玲「夏鈴の様子は?」


井「夏鈴も目を覚ましてないみたい。」


玲「もう1人の黒髪ロングの少女は?」


井「あの子は起きたよ。出血多量で大変だったけど、撃たれたのが脚だったから命に別状はないみたい。ただ...


玲「ただ...?」


井「ひと言も話さない。だから名前すら聞けない。」


玲「若そうだよね。家族からの捜索願いとかは?」


井「捜索願いも出されてない。何も持ってなかったし...だから本当に情報がないの。」


玲「ひかる警部なら知ってるのかなぁ...



そう思い、眠り続けるひかる警部に目を落とした。



ひ「んっ...



するとゆっくりとひかる警部の目が動き、すっと目が開いた。


玲「ひかる警部!」


井「先輩!!」


ひ「...はぁ。私どれくらい寝てた?」


玲「3日ですね。」


井「なんで2人ともそんな冷静なんですか!!3日も寝ててずっと起きなかったんですよ!!」


ひ「井上はいつも通りうるさい。...っ!」


井上を弄りながら起き上がろうとしたひかる警部は顔を顰めた。


玲「脇腹を撃たれてました。弾が貫通してなかったので、ここに運び込まれて緊急手術し、弾を摘出。出血多量で輸血。今に至る。って感じですね。」


ひ「そうか。簡潔にありがとう。で、夏鈴は?」


玲「やっぱりあの女性は夏鈴ですか。夏鈴は目を覚ましていません。そしてもう1人の少女は...


井「先輩!あの少女は誰なんですか!何者なんですか!!」


ひ「だから、井上うるさい!あの子は天。何者かは...分からない。」


玲「...本当ですか?本当に分からないんですか?」


ひ「...うん。知らない。まあ、夏鈴の知り合いかな。夏鈴の口から天って名前を聞いたから。」



また...何か隠してる気がする。でも...



玲「分かりました。」


ひ「ん。玲が救急車呼んでくれたんでしょ?ありがと。」


玲「いえ。ひかる警部が生きててくれて良かったです。」



こうやって警部に必要とされる。それだけで私は満足なんだ。



ひ「じゃあもう1つお願い。このうるさいヤツ連れて帰って。()



そして時折見れるこの笑顔も好きなんだ。






でも、この時を最後に、ひかる警部に必要とされる日はもう二度と来ず、ひかる警部の笑顔ももう見れなくなってしまった。









『速報です。都内の病院で、一時、世間を騒がせた怪盗夏鈴”の死亡が確認されました。また、夏鈴と関係があると思われる少女も死亡が確認されたそうです。警察は警察内部の人間の犯行であるとみて捜査を進めています。』








--------キリトリ線--------


だいぶこのシリーズ長くなりました。

しかも間があきまくる...。すみません。


ということでお時間がある時に是非初めからお読みください!!


下手ながら色々伏線張ってみてるんです...笑



ゆっかーの卒セレ、夏鈴ちゃん魂の不協和音、るんかりんのone-way stairs...東京ドーム公演、全て痺れました。



お気付きだと思いますが、1番初めのbanditはワンステを元に作ってますので、配信ですがパフォが見られて幸せでした^^




SiN🌱