夏鈴side




ふぅ


今日もレッスン後の自主練で遅くなった。


ジャマイカビール


また3人揃った時によりよいものを届けたいから。自分に出来ることはしようと思ったらこんなに遅くなってしまった。


待ってるよ。





そう考えているうちに分かれ道に来た。


前の一件があってからは、ひかるの言うことを聞いて、一人の時は人通りの多い方を必ず通るようにしている。




もう、ひかるに心配掛けたくないし。




だから今日も人通りの多い道を選んだ。



人通りが多い中、隣にひかるが居なくて一人ぼっちで歩いているとなんだか悪い方悪い方へ考えてしまう。






今のままでいいのか



もっとよくするためにはこのままじゃダメなんじゃないか



ツアーに向けて大丈夫なのか






そんな時、ふと前にひかるに言われたことを思い出した。



夏鈴。夏鈴は思い詰めちゃうことがある。だからそんな時は上を見るんだよ。そしたら頭がすっきりするから。



たしかに今私は足元しか見てなかったな。


そう思い空を見上げると、夜空には綺麗な月が出ていた。





カシャッ


今日は満月だったっけ?


そういや玲ちゃんが、今日じゃなくて、明日の月がなんちゃらって言ってたな。


ちゅうすう?


ちゅうしゅう?のめいげつかなんかって。





よし、キレイに撮れた。


ひかるに送ろう。


もうすぐ着くからね、っと。




ひかるが待つ家まではもう少しだ。


汗のせいか、なんだか頭と身体がむず痒い。


早く帰ってお風呂に入ろう。









ガチャッ


夏「ただいま。」


ひ「夏鈴おかえり!お月様の写真ありがとってそれ何?たけけと井上になんか意地悪されたの?」


夏「え、なんの事?」


ひ「その、頭に着けてる耳だよ。」


夏「え?」




ひかるに言われてぱっと頭を触ってみるとふさふさとした感触があった。


びっくりして洗面所の鏡を見ると、間違いなく灰色の犬のような耳が着いていた。





なんだこれ??





今日最後まで残ってたのは天と由依さんとみいさん。


由依さんとみいさんはしないだろうし、天も変なイタズラしたらすぐニヤニヤし始めてすぐ分かるから違う。



だとしたらこれは何?




ともかく恥ずかしい。早くのけよう。


そう思って耳のようなものを引っ張った。



夏「いたっ!!」


ひ「夏鈴?大丈夫??」


夏「ひかる、これ、のかんのやけど。」


ひ「え??」





耳の間を触ってみてもカチューシャのようなものはないし、根元を触っても、のかなさそう。




というか、なんだか耳を触るとゾクッと変な感じがする。





ひ「夏鈴、ちょっと、服脱いで?」


夏「は???何!?いきなり!!」


ひ「あ、え、変な意味じゃなくて!!腰の辺り違和感とかない??」


夏「あると言えばあるなんかむず痒い感じ





ひかるに促され、ズボンを少し下げてみると



ふわっ



ひ「わぁ!!ふさふさ!!!」


夏「え、なんこれ。」




なんと、尻尾のようなものが出てきた。


ひかるはと言うと私のしっぽを触って喜んでいる。




夏「ちょ、やめてや。」


ひ「そう言いながら本当は嬉しいんでしょ?身体は正直だよ?」



確かに私の?しっぽはゆらゆらと揺れていた。





夏「はぁてかなんで犬の耳としっぽが生えてんねん。」


ひ「犬じゃないと思うよ?」


夏「え?じゃあなんなん?」


ひ「オオカミ。」


夏「オオカミ??なんで分かるん?」


ひ「だって犬にしては耳やしっぽが太いもん。オオカミは犬よりも耳やしっぽ、足が太いんだ。だからこれはオオカミの耳としっぽだと思うよ?」




さすが。


動物好きなひかるに言われると、きっとそうなんだと納得してしまう。




夏「なんで夏鈴、オオカミになってんの?」


ひ「受け入れるの早くない?まあ、いいけど。心当たりは?」


夏「んー。ない。」


ひ「んー。オオカミオオカミあ!!!」




なにか閃いたのか、ひかるはばたばたとリビングへ走っていったかと思うと、スマホを持って帰ってきた。




ひ「これ!!」


夏「ん?これ、夏鈴がさっきひかるに送った月の写真??」


ひ「そ!月とオオカミ!!狼男!!」


夏「えぇぇぇ。確かに月は見たけどさぁなんで月見たら夏鈴がオオカミになるん。」


ひ「分かんない!!()まあいいじゃん!明日になったら治るかもよ!!とりあえず今日はご飯食べてお風呂はいって寝よ!」


夏「ん。」




なんか色々引っかかることはあるが、とりあえず疲れてるし、これ以上は頭は回らないから、いつも通りの生活をして、2人でベットに入った。



ベットに入ってからもひかるは私の耳やしっぽを触っては、


「わぁ初めてオオカミさん、触った〜!!」


って嬉しそうにするもんだから、触らないでとも言えず、明日には治ってることを祈りながら眠った。







--------キリトリ線--------


またまた思いつき。明日後編。


分かれ道のところ、ん?って思った人は「この手を」を読んでください!!



SiN🌱