ひかるside




明日のBACKSLIVEに向けて、BACKSメンバーだけでなく、櫻坂のメンバー一同気合いが入っていた。


エイトメンバーの中には、別の仕事に行くメンバーも居たが、終わり次第リハに参加するほど。


なんてったって、2022年初ライブだからね。


伝えられることは伝えたいし、いいスタートをきりたい気持ちはみんな同じ。





幸「ひかるちゃん、聞いてもええ?」


「いいよ!」


幸「Dead endの階段の上で踊るところやねんけど




と、まあこんな感じで、とても真面目なみんなは前日でも表現についてより良いものにしようと悩んでるんです。





井「ひかる〜地下鉄リベンジしたいのに、なんかしっくりこーへん


「え〜?そう?前のBACKSLIVEもよかったけど、格段によくなってると思うけどなぁ。」


武「やんなぁ!ほら、オリジナルセンターのひかるが言うんやから大丈夫やて!この後もいくらでも付き合うから!」


井「そうかなぁ〜どひっドキドキする


松「今、どひどひっていいかけた?滑舌()


井「あー!こら、松田!いじるな〜!」バタバタ


武「あの様子やったら大丈夫やろ()ありがとな、ひかる。井上、前のBACKSLIVE、あんま納得出来てなかったやん?やからすごい色々考えて研究してん。やからひかるにあー言って貰えて嬉しいと思うで。」


「いやいや、本当のことだから


武「さっきも、まりのちゃんにアドバイスしてたな?Dead end?」


「うん。そう。なんか、今回のセットも階段があって上でソロで踊るらしいんだけど、そこの表現で悩んでるんだって。あと階段が少し高いからちょっとこわいって言ってた()後で見に行ってみよっと。」


武「1stツアーの時のむき出し階段に比べたら低いと思うけど、初めて登ったら確かに怖いかもな()そういえば、夏鈴もDead endやるけど、なんか聞かれた?」


「いや。直接はなにも。保乃ちゃん伝いで1回聞かれたかな?あとは、私のライブの映像見て研究してるみたい。」


武「そっか。でも、ひかるのパフォーマンスを直視出来るようになったんやったら前進してるやん!どうしても気になることがあったら、夏鈴の事やし来るよ!」


「ん。そうだね。」


前までの夏鈴なら





ス「はーい、じゃあステージで確認して前日練習終わりにします!移動してくださーい。」


武「よし、じゃあまたなんか気になったら教えてな!」


「もちろん。行こう!」



そうしてBACKSLIVE前、最後の通しリハが始まった。








T「じゃあ今日はここまで!明日に備えてゆっくり休むように!」


「「はい!ありがとうございました!」」




無事リハも終わり、BACKSメンバーの表情は2ndBACKSLIVEの時よりも少し自信に溢れていた。




保「ひぃちゃんおつかれ〜!みんないきいきしててよかったな!」


「うん。それぞれの表現の仕方があってよかった!」


武「ひかる〜!どうだった?」


「ゆいちゃんのNobody's faultよかったよ!表情が特に!」 


武「ありがとう〜!自信になるわ!」


保「ほんまに!今日はゆっくり休んでな!」


武「うん!ありがとう!2人ももう帰るん?」



保「ほのは夏鈴ちゃんがダンサーさんたちとお話するって言ってたから、それが終わったら一緒に帰ろうかなぁって思てる!」


「私はさっき話してたステージセットに上がらせてもらってから帰ろうかな()



武「ゆってたな!そしたら私もあと少ししたら帰るな!たぶん、ステージの照明もう落としてるからくらいと思うで!気をつけてな。」


「うん!じゃあまた明日!」




そう話して私はステージへと向かった。




ゆいちゃんの言う通り、ステージの照明はほとんど落とされていてほぼ暗闇だった。



そんな中



「なにか聞こえる



ふんふんという鼻歌とともに、キュッキュッという足音が聞こえてきた。



だれか、残ってやってるな



近づくにつれ、何の曲かが分かってきた。



これは



Dead end…



でも、まりのちゃんはさっき楽屋できらちゃんに渋々付き合ってあげてた



ということは







頭の中で推理をしているうちに暗闇の中で踊っている人物を目でとらえられる距離まで近づいていた。






やっぱり






「夏鈴





気付いたら声に出していた。




あっと思って口を両手で抑えたがもう声に出したものは戻らない。



夏「森田さん」



私の声に反応した夏鈴が階段の上で振り返ったその時。






夏鈴は足を滑らせた。






夏「きゃっ」










後のことなんて考えてなかった。


もう目の前の夏鈴を助けることしか頭になかったんだ。


私の身体は気付いたらスタートを切っていた。










そして私の右手は夏鈴の右手をしっかりと握った。









ドンッ



そのまま抱き寄せ、階段下にふたりで転がる。



っててて。夏鈴!大丈夫?!」


夏「っ。あっあ゙ぁ




やばい。




夏鈴に触れてしまった。夏鈴がパニックになる。




「っ!ご、ごめん!すぐ離れるかr




パッと手を離し身体も夏鈴から離れた












つもりだった。











のに。


















夏「まって。」






次の瞬間、私の身体は大好きな、でもとても懐かしい匂いに包み込まれていた。