ひかるside
夏鈴が警察の人と話に行った。
保「ひぃちゃん、大丈夫やで。きっと。なんかあったら菅井さんのことやから連絡くれるやろ。」
「そうだね。」
ほとんどのメンバーは収録に向けて準備をしたり、いつも通りわちゃわちゃとしていた。
私は夏鈴の事と事件の事が気がかりで保乃ちゃんと一緒にソファで座っていた。
ブーブーッ
保「ん?菅井さん?え!ひぃちゃん、夏鈴ちゃんが!」
「え!なんかあったと?」
保「ちょっと過呼吸気味らしい!行ってくる!」
「わかった!…わ、私も…」
由「ひかる、ちょっとストップ。前話したし、行こうとしたことは褒める。けど、パニックになってる時に行くのは火に油だよ。ここは保乃に任せよう?」
「わ、わかりました。保乃ちゃんよろしく…」
保「分かった!行ってくるな!」
私達の動揺が楽屋に伝わったのか、何かあったことをみんなが察した。
けど数秒もすればいつも通りの雰囲気に戻っていく。
いや、戻してくれる。
由「ひかる。大丈夫。後で話聞こう。あと、あーは言ったけど無理しちゃだめだよ?」
「はい。ありがとうございます。」
それから30分くらいして菅井さんと保乃ちゃんに連れられて夏鈴が帰ってきた。
その様子を見て、入口付近にいた井上と武元が近づいて行った。
井「夏鈴!大丈夫か?」
夏「うん。大丈夫。苦しくなったけど、ちょっと事件のこととか思い出したで。」
武「そうなん!苦しくなったんはあれやけど、ずっと悩んでたから、ちょっとでも思い出せてよかったな!」
夏鈴…悩んでたんだ…
私じゃない人達はみんな知ってたんだ…。
私が夏鈴から逃げてた間、みんなが支えてたんだと実感した。
由「ほら、これ。夏鈴ちゃんに持っていけば?」
そう言って由依さんから手渡されたのは水の入ったペットボトル。
「え、でも…。」
由「〝いつも通り〟してごらん?」
「…はい。」
そう言われ、ペットボトルを持って、井上や武元と話してる夏鈴に近づく。
「か、かりん。」
夏「ん?あっ…。」
久しぶりに夏鈴に近づいた。
夏鈴からは保乃ちゃんの匂いがする。
まだ目を合わせるのは怖いから、目を合わせないようにしてペットボトルを手渡す。
「お、お疲れ。これ。」
夏「あ、ありがとう。ひ…森田さん。」
〝森田さん〟か…。
保乃ちゃんが言ってた。〝ひかる〟って言葉にはより過剰に反応してしまうらしい。
だからほかの2期生はあだ名とか名前呼びなのに、私だけはまだ〝森田さん〟呼びなんだと。
でもやっぱり、その呼ばれ方は…
溝を感じてしまうなぁ…ハハッ
「…っ。どういたしまして。」
保「ひぃちゃ〜ん!」
グッドタイミングで保乃ちゃんに名前を呼ばれ、その場から逃げるように保乃ちゃんの元へ行った。
保乃ちゃんの傍には菅井さんもいた。
「ありがとう、保乃ちゃん。」
保「いや〜!ひぃちゃん成長やな!よく渡した!」
「いや、由依さんの後押しのおかげやけん。あと、まだ目は合わせられんかった。」
保「ええんよ。ゆっくりいこう。それでな、警察と話しよる時に、夏鈴ちゃん少し事件のこと思い出したで。」
「だからパニックに?」
保「うん。」
そう言って保乃ちゃんと菅井さんは事件のことや警察との話のことを教えてくれた。
友「それで、事件について警察の人と話をしてた流れで、夏鈴ちゃん、ひかるちゃんと恋人関係だってことを知っちゃった。」
「…そ…うなんですね。」
友「なんで、そんな大事なことを忘れてたんだって、自分を責めちゃって。過呼吸になっちゃったの。」
そうなんだ…。そう思い、夏鈴の方を見ると1期生さんや2期生のみんなと楽しそうに笑っていて少し安心した。
保「ちょっと衝撃が強かったみたいで、警察の人が帰ったあと少しだけぐだーってなってたで。暑さで溶けそうな猫みたいに(笑)」
「ふふっ。ちょっと想像つく(笑)」
その日からは事件に関しては進展が早かった。
次の日には警察の人から連絡があって、夏鈴が言った人に任意同行を求めて事情聴取したところ、罪を認めたらしい。
本来なら夏鈴も警察に足を運んで、よくあるマジックミラーから覗き込んでその人かどうか確認するんだけど、パニックになったこともあるし、その話をお医者さんに話したところ、可能なら避けた方がいいということになり、行かなくて済んだ。
そして、犯人の動機は〝最近彼女と別れて、幸せそうなカップルを見ると腹が立ったから〟というよくあるしょうもない理由で、恋人関係かどうかの判断は、警察の見解通りだった。
私達が…夏鈴が狙われたのも偶然。
〝誰でもよかった。〟
んだって。
その人はそのまま捕まり、今は塀の中にいるそうだ。
天「よかったね!無事犯人捕まって!」
保「ほんまに!正直一緒に居る時も、いつ犯人がまた来るんやなかろかってドキドキしてたから…」
「保乃ちゃん、夏鈴のこと守ってくれてありがとうね。あとみんなも。」
保「いえいえ!あとは…」
天「あとは、夏鈴が記憶を取り戻すだけやな。」
「うん…。」
天「ひかると付き合ってること、知ったんやろ?それから話した?」
「いや…なんか向こうも気まずそうにしてて…」
保「そうなんよ。家でもな、ひいちゃんとの事教えてって言われるけど、あんま言ってもなぁ思て、付き合ってお出かけしてたで、とか一緒に住んでてんとかは言ったんやけど…。自分が忘れてるからひぃちゃんのこと傷つけてるっておもてるみたいで…」
天「あ、そうや。これ」
そう言って天ちゃんは夏鈴のスマホを手渡してきた。
「あ、夏鈴の!」
天「そう!やっと修理から返ってきたの!まあ、画面替えただけやから、中のデータとかは大丈夫やと思うで。」
「ありがとう!だけど、これはまだ夏鈴には返さない。写真とか、トーク見て、夏鈴を苦しめちゃいけないから。記憶が戻ったら、私の手からきちんと渡すね。」
保「うん。それがいいと思う。さぁ!ぼちぼち帰ろか!」
天「うん。じゃあまた明日!明日が終わったらBACKSLIVEやから、夏鈴もゆっくり休ませて。」
「よろしく!保乃ちゃん。」
保「うん!あ、そういや、夏鈴ちゃん、自分が好きやった匂いの香水とかお香とか焚き始めたで。やっぱ警察の人との話がきっかけでなんか感覚?とかが戻りよるんかもしれん。」
「そっか。よかった…。」
保「よかったな!じゃあね。夏鈴ちゃ〜ん。帰ろか〜!」
そう。夏鈴の記憶が戻らないままBACKSLIVEは明後日に迫っていた。
--------キリトリ線--------
昨日は理佐の卒コン1日目でしたね!
1曲目から号泣😭
配信勢なのでコールしまくって楽しかったです🙌
2日目も配信勢なので今晩が楽しみです!
ついに今日…理佐…卒業…