愛佳side
「ひら!ひら!!」
目隠しを取ると平手は眩しそうな顔をしていた。なかなか目が開けられない。
しばらくしばしばと瞬きをした後にやっと目が開いた。
が、ボーッとしたままだ。なかなか焦点が合わない。
「ひら!!ひらってば!!助けに来たよ!!」
悪いとは思いながらも、ら少し強引に身体を揺するとやっと目の焦点があった。
て「ンー…ンー!!」
私だということに気が付いたのか、平手の目から涙が溢れ出てきた。
「ひら。本当におまたせ。…ってあ、耳も塞がれてるから聞こえないか。待ってね…」
平手の頭に巻かれた包帯を取ると耳には耳栓が詰められていた。
…これはだいぶ周りの音遮断されてたな…
きっと真っ暗闇の中にずっと閉じ込められてた感じかな…
怖かっただろう…
そんな不安だっただろう気持ちを逆撫でしないように、昔、甘やかしていた時よりももっと優しい声で話しかける。
「ひら!ひら!大丈夫!?助けに来た。もう大丈夫だからね…」
あぁ…助けられてよかった…
でもこんなに苦しめられてたかと思うと…
愛佳は安堵と怒りと同情から涙が溢れそうになりながら優しく平手を抱きしめた。
「さあ。はやく帰ろう。ひらのことを天ちゃんも理佐もこばも保乃ちゃんもみーんなが待ってるから!」
そっと身体を離し、平手の顔を見て微笑んだ時だった。
て「ンー!!!ンー!!!」
平手が大きく目を開けて何かを訴えかけようとしている。
「ん?どうした?あ、口のものけないとだね。」
口にくわえさせられている猿ぐつわをのけようと手をかけたその時
[お前も道連れだ!]
突然後ろからさっきのびてた男の声がした。
しまった。うかつだった。
あれごときじゃあすぐ目が覚めるだろうに。
平手救出に意識が行き過ぎて甘かった…
男がスタンガンを振り下ろしてくる。
よく、ピンチの時にはスローモーションに見えると言うが本当にそうなんだなぁ…と思いながら思わず手を前に出し顔を背けようとした時だった。
視界の端に何かがサッと通り、男に突っ込んで行った。
バチバチッ
ドサッ
ハッとして音がした方を見ると、男の横に平手が転がっていた。
「ひら!!」
[こいつ…!よくも!!]
男は平手がぶつかった拍子に落としてしまったスタンガンを拾おうとするが、幸運にも私の方が近かったため拾い上げる。
[お、おい。何する気だ…?]
怯える男の前に立ち見下ろす。
「今度こそこれで終わりだ。よくもうちの平手をこんなにボロボロにしてくれたな。それに仲間たちの心にまで傷をおわせやがって。私はもうグループを離れた身だけど、離れたからこそ気付かれないように支えることも、いざと言う時にメンバーにはできないことをすることもできる。お前を…お前たちを絶対に許さない。」
[ゆ、許してくれ!]
半泣きになりながら謝ってくるが許すわけが無い。
バチバチッ
バチバチッ…
私は平手の気持ち、天ちゃんの気持ち、そして皆の気持ちを代弁するかのように男の首元にスタンガンを当て思いっきり電流を流し込んでやった。
男は今度こそ気絶したようだったが念の為持ってきておいたロープで手足を縛って部屋の隅に転がしておく。
「よしっと…ひら!!」
私は急いで平手の元に駆け寄った。