。+°:*.氷花.*:°+。 -HiKa- -2ページ目

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あなたにどうか、
とどいてほしい、
わたしのこころ。


ちょっとまえの話だけれど、ふと立ち寄ったコンビニのレジに、いちご大福がおいてあった
父も母もすきなんだよね…。わたしはふたつ、買った

わたしにはわからない味。
あまいくせにいちごがちょっとすっぱくて、わたしの舌では調和がちっともとれない。だからふたつ。

父と母、いっしょに食べてほしいよ。
ふたりで笑顔がいちばん。


あまくすっぱいその味をおたがいがかみしめるように、
ほかのどんなものも 両親ふたりでともにかんじて かぎりある おなじ時間を しあわせに生きてほしい

さいごにせんせいに逢ったとき せんせいはパンをおごってくれた
あんぱんとクロワッサン。「どっちがいい?」せんせいは言った
「せんせいはどちらも食べたことあるんですか?」とわたしが訊いたら せんせいは「クロワッサンをね…」とほほえんだ
せんせいの選んだ せんせいの勧めるパン屋さん。すこしでもいろんな「おいしい」をあじわってほしい。
「じゃ、クロワッサンください」とわたしは言った。「おおきいほうですみません」
せんせいは笑った。「そういう選択肢なのね」
ちがう、と言いたかった。でも生来くちべたなわたしだから、なにも言わなかった

ちいさなやさしさ。せんせいには伝わったかな。

だから…

あなたにも ちいさなやさしさ きっといっぱい みせていたよね 気づかなかったかもしれないけど。

じまんしているわけじゃないけれど、わたしはだれかの不幸を見ているより、自分が不幸なほうがいい。
自分の不幸は自分のこころしだい。よい方向にも いつでも 変えられる
でも言いかえれば他人の不幸もそのひとしだいだ。わたしには決められない
だったら自分が不幸でいい

幸も不幸も自分で決める。
どんなかなしくても、「わたしはしあわせ!」と泣きながら笑ってみせる

せんせいはわたしのしっているこの世界からいなくなり、永遠になった
でもわたしはのおかげで 魂のみの世界をしんじてる

だからいちにちに何回か 語りかけている
「わたしはいま こんなふうに生きていますよ」と語りかけている

そんなせんせいが のこしてくれたものがある
それは、永遠に消えない文章の世界。

せんせいは ことしの1月、8年間つかいつづけたガラケーがこわれて スマホにのりかえた
と同時に、メアドをgmailに変えた
意図したのだろうか? わたしはなぜ ケータイのメアドをつかいつづけないのかふしぎだったけれど


いまは感謝してる


だって スマホを解約しても フリーメールはいつまでも のこりつづける 使用できる

だから

がまんできなくなったとき せんせいに逢いたいとき 歓んでいるとき かなしんでいるとき
せんせいにメールを書くんだ

「あ、なんか届いてる」って読むんじゃない? と姉が言う

そうだね。きっと そんなふうに わたしのしらない世界で せんせいのこころは生きているんだ
あっちの世界で せんせいはいろいろなひとに逢って 笑って 泣いて 生きつづけるんだ

きのう、7月31日。家に帰ってくると、ポストに手紙がとどいていた。
差出人は…、せんせい。でも、差出人名も、宛名も、シールを貼った活字。

いやな予感がした。

これは、だいじなことが書いてある手紙だ。わざわざ2階の自室に行って、ペーパーナイフで、ていねいに 手紙を開ける。


「7月15日。旅立ち」


なかみもやはり活字で、そして…、
旅立ち。

せんせい。旅立ってしまわれたのですか。
わたしの知らない世界に、行ってしまわれたのですか。
これが、最期の手紙なのですか。
いつもの流麗な手書きの文字ではない、これが 最期の手紙なのですか。

いつも会っていたわけではない。だから、実感も わかない。
でも、母にその手紙を見せたら なみだが出てきた。

いまも まぶたが熱くてたまらない。


せんせい…、
もう2度と 会えない。
会いたくても…、
そのねがいは 2度と かなわない。

甥が発達障がいだと診断されたのは 去年のいまごろ
姉はうすうすわかっていて… だから大仰におどろくことはなかったらしい

そして、自閉症かも しれないらしい

「自閉症ってなに?」とわたしが訊くと
「他人に興味がないってこと」と言われた

…たしかに…
なんとなく、自己完結しているというか…
まったくといっていいほどしゃべらないのも、自分のなかで終わっちゃっているものがあるというか…
他人に「理解してほしい」とおもってないというか…

表情は とてもゆたかなのに。
がんこでがんこで なんか矛盾してるけど自己主張もはげしいのに。

そう、なのか…


でも、がっかりすること? 障がいをかかえていること? をなげくことは
健常者の 傲慢でしかない

そう。姉が言っているように


「成人後は社会的地位があっても、それで幸せとはかぎらない」
「ただ空をみあげるだけで風をかんじるだけでこころがよろこべるほうが貴いことなのだ」

どうしてわたしは まっとうに生きられないんだろう
どうしてわたしは 小手先の賢しらな生きかたを選んでしまうんだろう

お正月、大吉ひくまでずっとねばってた
母が 大吉、よろこぶだろうと ねばってた
いっぱいひいて、やっと大吉ひいて、母にあげた
でも母は、「大吉」であることよりも、「書いてある」ことがあまりよくなかったことを、嘆いてた
「大吉」なんて、すこしも気にしてなかった


…もうやめたい…


こんな自分、やめたい…
できるかわからないけれど、やめたい…

自分が 泥にまみれた穢いものにおもえて しょうがない
両手のひら、みつめたら どろどろまっくろに なっているよう

もっとまっとうに生きたい

つよく そうねがった

ああ神さま、きょうはおぼろ月が きれいです

せんせいと また 逢った。4月14日。
せんせいは、やせていたけれど、げんきにしゃべっていた。安心した


この日を、わたしの2度めのたんじょう日にしよう
この日を、わすれない、わたしの2度めのたんじょう日にしよう


わたしはせんせいに出逢えて、生まれかわれた

「じぶん」を語ることをしった。「訴える」ことをしった
「じぶんの生を訴える」ことをしった

ありがとう、と感謝のことばしか、おもい浮かばない

わたしの人生の核になるものをつくってくれて、ありがとう
わたしの人生の支柱になるものをつくってくれて、ありがとう


10代のあのころ、せんせいに逢ってから帰るとき、いつも こころのなかは天使が舞っていたよ
あまりに浮かれすぎて、電車の切符をとちゅうでなくしてしまうほど。

中学1年のとき、友だちに言われた。「あなたは一生わたしの親友だよ!」
わたしは言った。「いや、それはないって」

高校も変わるだろう。大学も変わるだろう。そのなかでもっと、だいじなひとが現れるかもしれない
考えかただって、変わる。そのとき、「親友のベストポジション」でいる確率って、とても低い気がした


そうして…19のとき。
当時40台後半の先生かな…、言われた
「おなじ学校を出て、おなじように結婚して、おなじように子どもを持って、親友だとおもってた」
「だけど自分のだんな様が死んでしまったとき、彼女の反応は上から目線だった」
わかってくれない。わかろうともしれくれない。あるのは、うすっぺらな同情っぽい言葉だけ
友だちじゃない、ましてや、親友なんかじゃ…

おなじような道を歩けば、話題は似てる。だから、「親友」の感覚が持てる
でもひとり道を別てば、そのひとはついてこない。ついてこれない

「親友なんて、いない」先生は言った

わたしも、おもってる


親友をつくるのは、とても とても むずかしいことだと。

あなたは言ったよね。わたしを「愛してる」って
ごめん。わたし、愛をかんたんに口にのせるひとは にがてなんだ

でもだまってた。かわいい女の子におもわれたかったから。「うん」って、だまってうなずいてた

愛は語らないでよかった

1回の「愛してる」より、100回の「だいすきだよ」ってことばのほうが、ずっと奥深くて、ずっと たぶんずっと… あなたの「愛」を 信じられた


さいきんはまって買っていたトクホのメッツコーラ。
そこには去年から「楽天シール」が貼られていた

なんでも「もれなく当たる」
50ポイント、100ポイント、200ポイントのいずれか。
ひとり10口まで。

まいにちダイエットにはげんでいるわたしは、けっこう順調にポイントをあつめた

ところが姉。
甥に追いまわされて、なかなかコーラ自体を買えない
もういつもの店舗には置いてないというのに

「2丁目のお店だったらこないだあったよ」姉に電話する。
「もう疲れ切っちゃって…。なんだかいいや…」なんてさびしいへんじ。
あきらめたら、あきらめたときにすべてが終わっちゃうんだよ!

わたしはひとり、2丁目のお店に行く。…なんと、売り切れ!

落ちつけ…。いつものように、そっと そっと 魔術を 姉に魔術を かけるのよ

じゃあ、ちょっと遠くのスーパーは? 歩いて歩いていく。ここもだめだ。
わたしの脳裏に、このあいだカラオケに行ったとき、こっそり食べようと買ったおかし屋さんがよぎる
あそこ…売ってた!
ちょっと遠いから、これはバスだ

バスに乗って、もよりの駅について、おかし屋さんに行って、ただひたすら祈る。ありますように!


あった!


帰りに、姉の家に寄った
義兄が出てきた。
「姉は?」「寝ました」
…眠っちゃうだなんてなんてのんきな…
「じゃあ、これわたしてください」買ったメッツコーラを義兄にあずける。

…魔術師は、せつない生きものだなあ