「泊まった古民家

とっても良かったんでしょう?」

そんな母との会話からだったと思う




これはもう

1ヶ月以上前のはなし




私たちは

またひとつ乗り越えた


きっともう乗り越えられたはず




自分の気持ちを全て言葉にして

伝えるのは

むずかしい…




すれ違うことだって

きっとまたいつかあるけれど


これからも寄り添っていきたい








(大切な絵本の中の一冊)






(なにを するにも あいを こめて、

こころのこえが よぶほうへ

すすんでみよう。)




お出掛けをした帰り道

子供たちは遊び疲れて眠っていた



私は運転していて

母は後部座席



なにげない

自然な会話だった



「泊まった古民家

とっても良かったんでしょ?」


夏休みに行った

妹家族との旅行のこと





楽しかった思い出を話すつもりだった


苦しかった気持ちは

自分の中で浄化させようと思ってた




でも本当は

旅行中に色々なことがあった


誰かに聞いてほしくなった




しんさんはなんだか

ずっとイライラした様子で


子供たちにかける言葉も

なんだか以前とは違うようで

(子供たちもそれに気付いていて)



そんなことがあったから

次の日予定よりも早く帰ってきたんだよ




話しながら

気付いたら泣いていた

(疲れてたのかな)




母は言った


「しんさんは何も変わってないよ。

どれだけ優しい人か私は知ってる。


きっと今

病に少し

心が負けてるだけ。


○○はブレずにいなさいよ。

今までと同じ振る舞いをしないとね。


しんさんが安心できるように。


しんさんはね

みんなの気持ち

ちゃんとわかってるから。」




そう母に言われると



そうだよね

しんさんは変わってないよね


と素直にそう思えた




旅行中に感じたこと

気付いたこと

思ったことを


その時にストレートな言葉で

しんさんに伝えることができなかった


そんな自分も嫌だった




本当は

「なんでそんな言い方するの?


何にそんなイライラしてるの?」


そう言いたかった



「せっかくずっと前から計画していた旅行なのに

楽しくなくなっちゃうよ


だから旅行どうしようかって相談したよね」



と続けてしまいそうだった

何も言えなかった




妹夫婦に対しても

申し訳ない気持ちでいっぱいで

つらかった



しんさんの体調に気を使うばかりで

向き合えていないようで

かなしかった






(もしかしたら、

じぶんの きもちを

うまくいえない

だれかの かわりに、

あなたが

それを つたえるかもしれない)



もうすぐ幼稚園の運動会


去年は食道の全摘手術を受けて

2ヶ月しか経たないしんさんが走ってくれた





「あの頃はまだ

筋肉が残ってたんやな


もう今は

あんな走れん…」というしんさん




今年は私が走る


全力で運動会を楽しもうと思う


しんさんが笑ってくれたらいいな




 

(もしかしたら、

ながすぎた よるのやみに

あなたが ひかりを ともすかもしれない。)