図書館にもいろいろ。
せっかくの休日に学校に行くというのは不本意ではあるが、
連休明け提出のレポートを終わらせるべく、
重い腰を上げて、大学の図書館へ向かった。
この一年間で急に読書が好きになった自分にとって、
周りに読書好きな友人がいないことは、残念極まりない。
僕は理系の人間なので、周りの人間が読んでいる本と言えば、
「応用確率論」
「数値シミュレーションのプログラミング」
「エンジニアのための論文の書き方」
といった、直接勉強にかかわるようなものばかりで、
そういう本は授業で読むか、レポートで必要になって読み、
自分から進んで読むことはあまりない。
休日の大学は閑散として、
図書館は向上心が高くて熱心な学生が、
今日も勉強しに来ているだけである。
いかにも難しそうな黒く分厚い本の文字を
一心不乱に追いかける彼の眼が、
僕が読書に一心不乱になっているときのそれとは違うことを祈る。
そんな図書館で本を探していると、
春休みの週末に街で一番の総合図書館に出向いたときのことを思い出した。
よく晴れた週末であったにもかかわらず、
目を輝かせた本好きな方々が、
図書館の本棚と本棚の間を埋め尽くしていたのである。
図書館そのものの雰囲気も素敵ではあったが、
その実態は、そこにいる人々の活気が作り上げた雰囲気であった。
大学の図書館にそういう活気が来る日は、
確率論や数値シミュレーションを駆使してみても、
論文で発表できそうな結果は出てこなかった。