★★★★★

メキシコ、麻薬戦争、親殺し、臓器売買、無戸籍児童、アステカ文明、…

それぞれに多様で多彩な情報と人物達が描かれており、とても面白く、読み応えがあった。

前半は話が何処にどう進んでいくのか見えなかったが、まったく冗長性はなく、早く先が読みたくて仕方なかった。

後半、様々なものが絡み合って繋がって展開していくが、アステカの神々や祭事についてのくだりも新鮮で、興味深く読ませてもらった。 ただ、川崎など知っている地域なので、殺し屋の養成や銃撃戦などは逆に現実感が無かったな。 前半の「こんなに話が膨らんで、どうなっていくんだろう?」な展開のときの方が、読んでいて面白かった。

テスカトリポカ - 煙を吐く鏡、夜と風 … 夜は暗く、風には体がない。つまり「目に見えず、触れることもできない」

著者の他の作品も、読んでみたくなった。

★★★⭐︎⭐︎

曹操の智謀

許昌の都にて、帝は劉備玄徳への信頼を高める一方、曹操の専横に心を痛めている。

それを知らされた車騎将軍の董承は、同じ想いを抱く者達で密かに血判状を埋めていき、そこには劉備も加わった。

劉備は、曹操の目を誤魔化すために百姓仕事をしたり雷を怖がったりと演技をする。

北平の公孫瓚が袁紹に滅ぼされ、その仇討と、袁紹と袁術が合体するのを防ぐため、劉備は5万の兵で徐州に向かい、袁術を滅ぼす。

曹操は、そのまま戻ろうとしない劉備を討とうと謀るが失敗。

劉備は、曹操に対するため袁紹と手を握る。

袁紹は曹操を討ちに向かい黎陽で対峙するが、内紛もあり膠着。劉備は徐州で、曹操の軍を追い返す。

曹操は劉備を討つのを春まで待つことにし、冬の間に張繍と手を結ぶ(劉表とはうまくいかず)。

董承と医師の吉平は、曹操に毒を服ませることを謀るが…。



以前にテレビで紹介されていて、是非観てみたいと思っていた。


樹脂を積層させながら、その中に金魚を少しずつ描き重ねていくことで立体感を出していく技法。


升の中に描くことで、視点が上方からのみとなり、立体感を演出し易くなるとの説明に、なるほどと思った。



この技法の初期の頃からの作品も展示されていて、その変遷を観ることができたのも良かった。

立体感を描き出す積層の技法は容易にできるものではない、まさに深堀さんが永年に渡って積み重ねてきた「技」であり、それこそが「個性」なのだ、と。


他にも素晴らしい作品が多々あったし、生活費を稼ぐため500円売っていた無名の頃の作品などもあり、作品と共にひとりの芸術家の人生を垣間見れる個展で、とても良かった。



★★★★★

江戸城の無血開城を成し遂げた二人の麒麟児、勝麟太郎(海舟)と西郷隆盛。

歴史の教科書に1〜2行で書かれていたことだが、その会合の背景、その意味、そしてその頭脳戦とも言える二人の駆け引きの様子を、冲方さんが臨場感一杯に描かれている。

立場は違えど、互いに認めあい理解しあっていたからこそ、成し遂げられたのだ、と。


一方で、主君のために奔走しても、梯子を外され、厄介者扱いされて罷免され、それでもまた呼び出されて働くということの繰り返しだった勝。

それでも(腐りながらも)奔走し続けられたのは、国の未来を見据えた想いがあったからだろうか。

そのような強い想いが、時代を創る人たちの胆力の源なのかもしれない。


・「勝を討てるのは西郷だけ」
 勝も西郷も、官軍にそう思わせ、二人だけで決着できるように智力を尽くしていた。互いの目的は戦闘ではない。むしろそうすることは過ちになるという認識を共有したうえでの、電撃的ともいえる早期講和である。

・勝の大願は旧制度解体と新国家の誕生である。諸外国に匹敵する国。人材を平等に扱うことができる国。それを子孫に残せるなら、せめてその道筋が作れるなら、死んでも構わない。そう思っている。
 だがそのために旧制度の一部を残す必要があるというのは、いかにも皮肉だった。

・この世で勝の心を最も挫くのは、やはり慶喜という、果てしなく怜悧で思い込みの激しい、家臣のことなど何一つ顧みない元主君だった。

・若無開運意推誠
 (もし運開くなきも意は誠を推す)



★★★⭐︎⭐︎

呂布の末路

張繍と劉表の企みを防ぐため、前の戦の傷も癒えぬまま南陽へと向かう曹操。

しかし5万の死者を出す惨敗となり、その隙に都を伺う袁紹を警戒して都に引き返した。

袁紹を討つ前に、後門の虎である呂布を撃つため劉備と準備を進める。

この動きを知った呂布は、小沛の劉備を攻める。

曹操は劉備に援軍を送る。

呂布の部下の陳親子は、徐州の主は、かつて陶謙が頼み込んだ劉備として、呂布を追い落とす。

下邳の城に籠城した呂布は、袁術と手を組もうとするが上手くいかないまま、家来の侯成などの裏切りにあい、下邳は落城し、その裏切りの人生であった生涯を閉じた。