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施主である不動産デベロッパーに頭の上がらない「請け負け」体質のゼネコン。
オリンピックなどの建設ラッシュ時は「選別受注」をちらつかせ強気な面もあったが、再び元に戻り、資材高騰のインフレ、金利高騰、景気後退などで大手も減益となり苦しんでいる。

公共工事では、急激な物価上昇などを反映させて請負代金をある程度変更する「スライド条項」の盛り込まれるが、民間工事では未だ難しく、リスク負担を請負業者が一方的に引き受ける状況について、不動産デベロッパーとの綱引きが続いている。

そのような中でも大型案件が続く。

三菱地所のTorch Towerは、清水が優先交渉権を得たが資材高で赤字必至。

三井不動産の東京ドームは、竹中、鹿島、清水が優位なのに対し、大林が食い込もうとしている。

大阪万博は地元の竹中と大林が落札するも赤字必至と言われ、さらに閉幕後はIR施設が建設されるため、「うちが建てた」というレガシーが残らず、火中の栗となっている。

新宿駅では地元の大成とJRに強い大林、一方で事業主体に東急不動産が食い込む展開。

そのような中で、本業以外の活路として私募REITへの参入、三菱地所と竹中などはCLT(Cross Laminated Timber)材の製造・販売を一気通貫で自社完結し、中間マージンをなくすビジネスモデルを構築しようとしている。

建設労働者の高齢化が進むなか、業界の生き残りをかけた動きを注視していきたい。