お正月。
家でゆっくりと過ごしている事が、我ながら珍しい。
年末年始休暇は、大好きな門松利樹を聴きながら、
スキーに興じているのが恒例だからだ。
今回は、休暇前に足首を捻挫してしまい断念。
僕は、こたつでミカンを食べながらテレビにむかっている。
見ているのは、笑えないお笑い番組だった。
……。
…………。
……………………。
…………。
……。
あ、知らない間に眠ってしまった様だ。
お笑い番組は既に終わって……あれ?
寝ぼけて切ったのだろうか、テレビは真っ暗になっている。
僕はリモコンをテレビに向けた。
と、その時だ。
信じられない光景が目に映った。
「……お、女!?」
真っ暗な画面に見知らぬ女が横たわっているのが映っている。
この部屋には、僕しかいない筈。
位置関係を説明すると、
テレビ→女→こたつ→僕、となっている。
僕はそっとこたつの向こうを覗き見た。
しかし、誰もいない。
つまり、女はテレビの中だけにいる、
そう異界の住人なのだ。
僕はまず冷静になる事に努めた。
そして、テレビにしか存在しないその女を観察した。
「ううっ!!」
女はトップレスだ。
巨乳だ。
横になっているのに、重力をものともしない、
若い張りのある垂れない巨乳だ。
「ぬはっ!」
それに、よく見れば身に着けているのは、
スケスケパンティーだけではないかっ!
黒々した淫美なデルタ地帯が、冷静を努める僕を狂わせる。
極め付けは、その顔は生気の無いグレーで
おぞましい目なのだが……とびきりの美人だ。
スケパンオンリーの美人。
僕は、僕の右手に知らず知らず、
僕の欲望、そのすべてを託していた。
もぉ見るっきゃない!
もぉやるっきゃない!
数分後、僕は静かに昇天した。
気が付けば、女は消えていた。
さっきまでの出来事が夢の様に思えた。
しかし、丸まったティッシュから仄かに漂う栗の華の香りが、
夢では無かった事を静かに物語っていた。

