あの日も雨だった。
私は雨に打たれながら自転車を漕いでいた。
雨がキツくなって来たので、
普段は行かない裏道に入る事にした。
自転車が擦れ違うのもギリギリの裏道。
ここを行けば、かなり家は近くなる。
だったら、普段からなぜ使用しないのか?
って疑問に思う人もいるだろう。
実はこの道の途中に、一件の空家がある。
この……空家の前で……ああっ、嫌だ嫌だ……
出るのよね……老婆の……。
そして間もなく、その空き家が目に入った。
「うわっ!い、いる!!!」
なんと、空き家の前に老婆が立っている。
でも、もう行くしかない。
私は、スピードを上げた。
一気に通り過ぎようとしたのだ。
そして、その老婆とまさに擦れ違う瞬間だった。
「ゲポッ」
老婆がゲップした。
それが恐ろしい程に、く、臭い。
私は目眩をおこして、ハンドル操作を誤り転倒した。
おかげで、全身がグッショリだ。
老婆は、転倒した私を無視して、
空家の隣りの自分の家に入っていった。
ね、ホントだったでしょ。
空家の前で、出るのよね……老婆のゲップ。

