彼女の名前は南 晶子(仮名)、27歳。
独身のOLで、山ガール。
性格的にストレスを抱え込む事が多く、週末は決まって山に登ってる。
それが、彼女の唯一のストレス解消方だ。
同行するのは、大学時代からの友人、西原 玲子(仮名)。
晶子よりひとつ年上で、同じく独身。 
フリーのイラストレーターで、幼い頃から「霊感」を持っている。

今から紹介するのは、そんな二人が遭遇した奇妙な出来事である。


つい先日のこと。
二人は通いなれた山を登ってた。
いつもの登山道は、夏から秋に移り変わろうとしている。
と、先頭を歩く玲子の足が止った。

「どうしたの、玲子???」

「ねぇ、あれ……」


玲子は登山道の先を指差した。

「何? あの黒い靄(もや)みたいなの???」

「そう……晶子にも見えるんだね、あれぐらい強力になると。」


晶子の全身が粟立った。
玲子とは、こういうシチュエーションに何度も遭遇している。
だが、晶子自身の目に見えるのは初めてだった。

「あれ……霊なの???」

「そう……そうとう凝り固まっている邪気だわ。
……今日は、ここで山を降りましょう。
私の手にはおえないわ。」

「そ、そうね。」


二人はゆっくりと静かに踵(きびす)をかえした。

「いい? 慌てず、平常心で、ね。」

「う、うん。」


そして2、3歩いたところで、様子を見る為に玲子がゆっくりと振り返った。

「ヤバイ、こっちの存在に気が付いたみたい。」

その言葉に、晶子も反射的に振り返った。
さっきの黒い靄が、より黒々として
ビリビリと痺れる位の悪寒を感じる存在になっているではないか。
と、それがスルスルスルと二人に近付いて来ているのである!!!

「ダメッ!!! 晶子、見ちゃダメッ!!! 乗っ取られるわよ、逃げてっ!!!」

霊感のある玲子の目には、
鬼の様な形相をした悪霊が自分たちに向かって来る姿が写った。
二人は脱兎の如く、一気に駆け出したっ!!!

 

 

ってかお前たちの形相が怖いよ、
そんな顔じゃ嫁に行けないぞっ!!!!!