今年も、高校球児たちの熱い夏が終わろうとしている。
第96回 夏の全国高校野球選手権大会。
場所は御存知、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場。
台風の影響で、8月9日~23日だった日程が、
11日から25日までの15日間に順延はしたものの、
各地方大会を勝ち抜いた49校が熱い戦いを繰り広げている。

そしてこれは、いつの大会かは明言出来ないが、
ある女子高生が甲子園球場で体験した出来事である。


私は、高校三年のチアリーダー部に所属する、
何処にでもいるような普通の女の子です。
体験の性質上、名前を公表するのは控えさせてもらいます。
ホント、まさかです。
まさか、あんな体験をするだなんて……。

私は、そのスタイルの良さと、
顔の良さを武器にチアリーダー部に席を置いています。
でも、大きな舞台はまだ未経験です。

私の通う高校の運動部は、強いと言えば強いのかもしれませんが、
何故かいつも準々決勝ぐらいで負けちゃうんですね。
一番、大舞台に近いのは野球部かしら???

甲子園、そんな大舞台で思いっきり応援してみたいわ!!!
と、そんな願いが通じたのか、奇跡的に、この夏、甲子園出場が決定した。
これには、私たちチアリーダー部も舞い上がったわ!!!
とにかく、猛烈に練習して悔いの無い応援をしなきゃ!!!
だって夏休みが終わったら……私たち3年は部活を引退しなきゃいけない。

そして、私たちの晴れ舞台の日がやってきた。
大会三日目、我が校の野球部が大舞台に立つ。
私たち、チアリーダー部もそれぞれのポジションについた。

「さぁ、やるわよ。」

三年間、私が一生懸命打ちこんだチアリーディング。
その全てを、この甲子園で……。

「ああっ!!!」

そう思った矢先、とんでもない光景が私を襲った。

「そ、そんな……」

私はひとり落胆した。
こんな大切な日に……こんな理不尽な現実にさいなまれるだなんて。

「練習しか頭になかったから……。」

嫌な汗が背中を伝う……。
そうか、それでさっきから妙な視線を感じるんだ。
今からでも抜け出して……ああ、もう駄目……もう応援が始まる。
とりあえず、一瞬だけ抜け出して、この恐怖の現実を振り払わなきゃ……
だって、これが最後の、高校三年の夏なのよっ!!!
やるしか……ない。

私は両の頬を叩いて気合を入れた。
見て、これが私の青春。
最後の、渾身のチアリーディング。

私は力いっぱい、我が校の名を叫んだ。
同時に心でもこう叫んでいた!

 

 

 

 

「ぎゃゃゃあああっっ!!!
 なんでこんな日に、
わきの処理忘れたのよぉーーーっっ!!!」