目覚めが悪い……嫌な夢を見たからだ。
登校中に、建設中のビルから鉄骨が、僕に落ちてきて……。
そうなんだ。
確かに通学路の途中で、ビル建設の現場がある。
(コレって、正夢とか予知夢とかの類じゃないだろうね?)
あまりに鮮明で、ハッキリとして、生々しい夢だった。
一抹の不安がよぎる。
学校も休みたかった。
しかし、中学三年生だし、高校受験を控えているし……
そもそも、こんな理由で休ませてくれる両親ではない。
仮病を使うには、僕は「素直」すぎて嘘がつけない。
それに、だ。
冷静に考えてみれば、今朝の夢は間違っている。
夢の中の僕は、「一人」で登校していたが、
現実の僕は友人の児玉君と登校している。
僕は安心して、児玉君の家へ誘いに行った。
……が、児玉君が風邪の為、今日は休むというではないかっ!
(ま、まさか?)
不安と戦慄が、僕のナイーブな精神を混乱させる。
夢と同様、僕は「一人」の登校だ。
問題の事故現場に近付けば近付く程、状況は夢と同じだ。
イヤな汗が全身から吹き出る。
今朝の夢は間違いなく「予知夢」だ!
もう……覚悟をきめようか……いや、まだだ。
まだ早すぎる!!!
初体験どころか、ファーストキッスもしてないんだっ!!!
ってか、恋人もいたためしがないよっ!!!!!
こんなことなら、昨日の内に隣の席の
真由美ちゃんの縦笛の先を……まぁ、その~ぉ。
と、とにかく、まだまだ生きていたいんだよっ!!!
でも、もう直ぐ建築現場だ。
知らず知らずに、項垂れながら歩いている僕。
(フッフフ……そういえば、夢の中の僕は項垂れながら歩いてたな。)
そして今、僕の真上、遥か上空に鉄骨がぶら下がっている。
あれが……僕に……。
まぁ、長生きをする人もいれば、短命な人もいる。
「予知夢」だしな……これが僕の運命なら仕方ないか。
と、鉄骨が落ちて来た。
ってか、ちょっと待て。
なんで、違う道とか、テキトーに学校をサボるとかしないんだよ、俺???
「素直」なのもいい加減にしろよ、俺!!!
いくらでも回避方法があったじゃない
ぎゃああああああああっっっ!!!!!!

