私の通う女子校には昔から、七不思議が語り継がれている。
中でも、音楽室のピアノは夜な夜な
美しい旋律を奏でることで有名なのであります。
その噂を耳にした、私こと2年B組の高橋知子(左)と、
親友の原口喜美子(右)は、その真相を暴くが為、
夜の校舎に忍び込んじゃいました。
警備員には賄賂を渡してるわ。
隣のクラスの超美人、和田隆子のブルマ……よ。

「知子、ホントにホントかしら……今時、ピアノを奏でる幽霊なんて?」

「“今時”だから、新鮮なんじゃない。
時代錯誤というか、ノスタルジーというか!」

「ふーん。ねぇ、気になっているんだけど、そのカバン、何?」

「カメラよ。幽霊が出たら、激写するのよ!
ステキな心霊写真が写せたら、出版社かテレビに売るの。
ひょっとしたら、TVにも出れるかも……!」


さて、そんな調子で音楽室の前にやって来た私たちは、
さすがに怖気づいたのか、なかなかドアを開けることが出来なかった。
いつも利用している音楽室が、今夜はやはり何となく不気味だ。
私の手には、ブルマと交換した音楽室の鍵があぶら汗で鈍く光っている。

(ん!?誰かがいる……)

私の霊感が何かを感じた。
私には、もともと“霊感”というモノが備わっているみたい。
お母さんの話だと、小さい頃は誰もいない壁に向かって会話をしていたという。
今でも“不思議少女”と呼ばれている。
その“不思議少女”が、今まさに人の気配を感じているワケだ!

「南無……」

私は思いきって、鍵穴に鍵をぶち込みドアを開けた。
……誰もいない。
少し気がゆるむ。

「どう?大丈夫!」

基本的に恐がりの喜美子は、私の背中にしがみついている。

「うん、ダイジョーブイ!」

そんな古のギャグもこんな時は役に立つ!
喜美子は、吹き出しながら顔を上げた。
とりあえず私たち、問題のピアノに向かった。
懐中電灯に照らし出された、黒いグランドピアノ。
特に問題は無い。

「ねぇ、なにもないわね。」

「そうね……。
まあ、こんなモノじゃないの。
せっかくだから、写真でも撮っておきますか!
もしかしたら目に見えない何かが写るかもしれないし……」

「えっ!?
じゃ、じゃ、今何か側にいるの?
知子の“不思議少女”パワーが何か感じてるの?」

「さあね。」


私は意味深な言葉を吐いて、シャッターを押した。
でも、実は何も感じていなかった。

(おかしいなぁ……入る時、気配を感じたのに?)

私は、意味無くシャッターを押し続けた。
それだけで、怯える喜美子は幸せ者かも知れない。
ただ、釈然としないのは、さっき感じた人の気配だ。
今も……密かにしている。
しかし、勘違いかも知れない。

なぜなら、他の霊感を持つ人は知らないけど、

私には霊の種類によってその感じ方が違う。
例えば、浮遊霊なんかはその場の空気に重みが生じて、

ピリピリと電気が身体を巡るの。

地縛霊なんかは、胸が締め付けられ、

酷い時には両肩にすごい重みを感じるのよ。
今回はそのどのパターンとも当てはまらない。
また、現実に何も起こらないし、何も現れない。
不可解ながら、私にしてみればつまらない、拍子抜けの結果だ。
結局は、噂は噂でしかないんだろうか?

「もう帰ろう!」

見たいテレビがあったので私が切り出した。

「うん。」

恐怖に顔が引きつっている喜美子が待ってましたと頷いた。
ところが、私たちが音楽室を出る瞬間、恐怖が舞い降りたのよ!!!

 

 

「いやぁ~ん!」

暗闇の中から、突然の艶っぽい女性の声……。
私と喜美子は顔を見合わせた。
いる、確実に何かがいる。 
私は、未体験の感覚に生死の危機を感じた。

(なんなの、今の艶っぽい声は……女性の色情霊???)

一体、何がいるんだろう?
一体、私達はどうなるのだろう?
振り返れば全ては明らかになる。
青春とは、決して後悔しないこと!!!

「ええいままよ!」

私は思いきって振り返った!
そこには……黒い影が二人。
あ、あれは……?
あ、あれは!?


「田中先生(♂)と吉田先生(♀)が、
まぐわってるジャン!!」