僕、舟本 高志(仮名)の通う中学校の側に、小さな公園があるんだ。
実はここの便所にね……出るんだよ。
何がって?
亡霊だよ。
亡霊。
亡霊便所……みんなはそう呼んでいる。
それは、ひとつしかない男子便所の大便器なんだけど……。
用を足しているとね……
イッヒヒヒ……
って、青白い手がニュ~と出てきて、お尻を触るんだって!
だからあの便所で用を足す物好きは、何人(なにびと)もいない。
もちろん、僕だってそうさ。
この宇宙旅行が現実化している現在、
そんな時代錯誤の亡霊なんて信じちゃいないけど……とにかく使用しない方がいい。
ところが、そうはいかない日が訪れたんだ。
「まだ来ていないな」
その日、僕は友人の数田君(仮名)とローラーブレードで遊ぶ約束をしていた。
待ち合わせ場所は……何の因果か、その公園。
僕は、数田君より先に誰もいない公園に到着した。
狭い公園だけに、否応なしに便所が視界に入る。
僕は思わず便所に背を向けた。
キュ~、ゴロゴロゴロ。
すると突然、急にお腹が痛くなった!
僕は辛抱できず……ましてや誰もいないとはいえ、
女子便所に入ることは出来ず……
件の男子便所、そう「亡霊便所」に飛び込んだのだ!
危機一髪だった。
間に合ったという安心感、腹痛からの解放……
それに比べたら「亡霊便所」の噂なんて、まさしくクソ喰らえ!、って感じだった。
こんな時は、くみ取り式特有の臭いも愛おしい。
ところが、そうも言ってられなかったのだ。
イッヒヒヒ……
と、噂通りに変な笑い声がすると同時に、
僕のお尻をなでる感触があるではないかっ!?
僕は、恐る恐る下を見た!
なんとそこには、青白い手が、糞まみれの青白い手が僕のお尻を触っていたのだ。
「ウギャアアア……
そんな汚い手で僕のお尻を触るなぁ!!!」

