私は数年前から原因不明の奇病に悩まされていました。

ある夜はうめき声のような幻聴に悩まされ……
ある夜は息が出来なくなり……
朝には首筋に手で閉めたような痣が残っていました。
こんな原因どころか症状すら特定できない奇病に、
医師もさじを投げてしまいました。

現代医学に見放された私は、藁にもすがる思いである寺を訪れました。
その寺には、天狗が無病息災を願って彫った「天狗岩」があり、
その岩に触れるとどんな難病奇病もたちまち治ると言われていました。

私が寺の住職を訪ね、事の次第を説明すると、

「天狗様に癒してもらいなされ。」

と、快く案内していただきました。
裏庭に通された私に住職は、

「これぞ天狗岩じゃ!」
 
と、声をかけました。

 

 

そこには平仮名でかわいく「てんぐ」と彫られた岩がありました。

私もさじを投げました。