構音訓練のタイミングと動きのイメージを使った訓練例②:小児の機能性構音障害の訓練(5) | 向き不向きより前向き♪言語聴覚士かあこから感謝をこめて

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ST(言語聴覚士)として病院・施設・学校などでリハビリや訓練に長年携わっています。出会わせていただいてきた方々への感謝の心をこめて、日々思う事・考える事などを綴っていきます。
どなたかの「今」にお役に立てることがひとつでもあれば幸いです。

今回は、
このお子さんとの構音訓練で

身体全体の動きも使って音を誘導した方法を、
ご紹介してみます。



「と」が「こ」になってしまうので、「と」の練習をした時

ちょっと専門用語で書いてみます。
(ラストまでこの調子という訳ではありませんので、ご安心?下さい)

「と」の子音[t]は、

舌先を歯茎の中ほどにつけて呼気圧を高めてから、
急に離すと同時に呼気を破裂させて出す無声の破裂音です。
構音点が歯茎にあるので歯茎音(しけいおん)と呼ばれます。


「こ」の子音[k]は、

奥舌を持ち上げて軟口蓋と接触させ、
閉鎖を作ってから呼気を破裂させて出す無声の破裂音です。
構音点が軟口蓋にあるので軟口蓋音(なんこうがいおん)と呼ばれます。
そのうち、「こ」は子音に続く母音の「オ」の作る狭窄が後方にあるので、
閉鎖は奥の方に出来ます。



「と」と「こ」は、どちらも無声の破裂音ですが構音点が異なります。


ややこしいですね。


これを幼稚園児さんに説明しても、
わかりません。


この二つの音。


「と」の子音[t]は、
舌の前の方を使うイメージ。


「こ」の子音[k]は、
舌の奥の方なので、後ろの方を使うイメージ。



そうして。
どちらも、続く母音は、「オ」です。



このお子さんは、「そ」が出せましたので、

「そ~」と言う。
  ⇒ 舌の前の方を上の歯の当てる 
  ⇒ 「そのまま そ~って言ってみて」

という方法で誘導したら、「と」を出せました。

でも、いきなり「と」を出そうとすると、
「こ」になってしまいます。



さぁ。
どうしようかな~~~。



すご~~~く大雑把にとらえれば、

「と」は前の方。

「こ」は奥の方。


の、イメージ。




では、皆様もご一緒に~~~♪



首を今の位置から、リズムをつけて前に出しつつ、

「とっとっと」



首を今の位置から、リズムをつけて後ろに引きながら、

「こっこっこ」


首を前に出しながら
とっとっと~

首を後ろに引きながら
こっこっこ~



う~ん。
首だけだと、足りないかな?

じゃあ・・・・。



手も付けちゃおう!

両腕を軽く曲げて~♪
両手を、パーにして~♪。

前に出しながら
とっとっと~。

後ろに引きながら
こっこっこ~。

とっとっと~
こっこっこ~

え~い!
立っちゃおう~~~♪


腕と手のパーは同じですよ~。


身体を前に出しながら

とっとっと~♪
とっとっと~♪

身体を後ろにしながら

こっこっこ~♪
こっこっこ~♪


う~ん。

ぴょんぴょんしちゃおうか~♪


前に出ながら
とっとっと~♪


はい後ろ~~

こっこっこ~♪

はい。
とっとっと~♪


はい。
こっこっこ~♪


とっとっと~(前)

こっこっこ~(後ろ)

ぴょんぴょんしながら

とっとっと~

こっこっこ~




これを書いているだけでも、
身体が、前に後ろに・・・
って、なっています。


みなさまはいかがですか?

身体がポカポカしてきませんか?

「と」の[t]は、前の方。
「こ」の[k]は、後ろの方。


机に向かって、ひたすら訓練するだけではなく
こういう風に、
全身の動きも使って誘導したり、
違いを感じてもらったりします。



ポイントやエッセンスを
ややこしい理屈ではなく
どう伝えていくか。

必要な動きを
どう引き出していくか。


もちろん、色々な方法論はあるのですが
それにプラスして、
そのお子さんが受け入れやすいだろうな~
という方法を考えます。

あとは
できるだけ、楽しく。




今回は、
身体全体の動きも使って音を誘導した方法
定着を図った方法のご紹介でした。





それでは、本日はこのあたりで。

お読み下さり、ありがとうございました。







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