▼「きっと、もう、思い出」 | Silver_Arrow_74

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▼「きっと、もう、思い出」

東急ハンズの帰りに
Book Offに寄った

君が言ってた映画の
原作本をパラ見したけど
あまりの悲惨さに
怖くて買えなかった

天気が良くて
ぼんやり ゆっくり歩くのに
いい具合の昼時だった

僕は
水商売をしてた割には
職場を変わらない方だったけど
それでも何回かは店を移った

意識していなかったけど
新しい環境に馴染もうと
頑張っていたんだろう

前の店のスタッフが来てくれた時
一週間も経ってないのに
もう
なんとなく

懐かしい感じがした

博多駅から帰り道のファミマで
気がつくと
ヨーグルトを買っていた

公園前の店で
普段ならそんな事 絶対ないのに
タコ焼きを買ってしまってた

最後の二日のシフトさえ
忘れかけてた君だから
もう
前の職場は
通過した景色のひとコマだろう

家の近くまで来て
足元の小さな彩りに
二、三歩 後戻りした

スミレだ

スミレ色というより
小さな粒の深い葡萄の色してる

おだやかに
波立たない気持ちで
静かな秋の街を歩いていても

なにもかも
君を呼び起こして
少し おかしくて
ほほえむ

本当は 最後のシフトから
一週間も経って
君に会うのが恐かった

店長め
余計な事しやがって
って

君の口調を真似て
心の底で毒づいた

僕が まだ
思い出にできないうちに
永遠に
思い出にできないうちに
君の目が
僕を
もう
懐かしいものみたいに見るのが
恐かった

帰り着いてから
荷物を下ろして
服を着替えて 髪をほどいた

片付けて掃除をしたいのに
それよりも
眠りたい

僕がもう
君のなかで
思い出になっちゃったのを、
思い出の数にさえ入れられてないのを、
確かめてしまったら

また
泣き続けて
眠れないだろうから

暖かい秋の陽がさす中で
その日まで
眠りたい

もう ずっと
眠っていたい

いつものように
君がくれた優しさだけ
繰り返し
繰り返し
思い出しながら

泣きながらでも
ずっと
ずっと
眠っていたい



-',,-