「春のれんげ草」 | Silver_Arrow_74

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「春のれんげ草」

約束なんか
ねだった事はない

欲しがりは恥ずかしい
おねだりは浅ましい

それくらいの慎みは
持っている

約束なんか
ねだった事はない
のに
みんな勝手に押しつけて
くれてやったんだからいいだろう?
と 僕で遊んで元を取って
時間が来たら
名残惜しそうな
悲しい顔を作って去ってゆく

去られる事より
いつも手元に残される
空手形が淋しい

メモ用紙にも使えない
破綻した株券が淋しい

時折取り出して
膝の上で見つめてしまう
自分が淋しい

お願いだから、
しないで下さい、と
頼み込んだ人もいっぱいいたのに
最後には泣いて頼んだのに
優しい顔で押しつけて
あとは定食コースを辿られると

憎んでも
いいのかも知れない と
みすぼらしい所まで
追いやられる自分が
淋しい

だけど
僕は
多分、産まれて初めて
約束をお願いしました

お願いする事が
できました

「消えちゃう時は
そう言ってね」

これから消えてやろうとする人が
そんな約束果たすはずがない
果たすと思っている方が
どうかしている

けれど
この約束は
宝物

自分勝手な揺れに乱れて
壊れてしまった僕に

凛々しい眉を少し曇らせて
いい加減、頭冷やせや
と言うように

何回言ってもわからない子供に
この、ばかちんが
と言うように

あー、もー
と言うように
微笑んで
でも
頷いてくれたから

しばらくは
ちゃんと眠ろう
きちんと眠ろう

せめて
壊れかけくらいの人まで戻ろう

この約束は淋しくならない
果たされなくても
守られなくても

自分からお願いして
与えてもらえたものだから

春先のれんげが揺れる
小さな森の小川みたいな
あの笑顔と
一組になっているから

おねだりを叶えてもらえた
聞き分けない子供より
嬉しかった
幸せだった瞬間と

ひとつになってる記憶だから

これはきっと
僕の
一生の宝物


-',,-