今月の100de名著『力なき者のたちの力』を買いに本屋に行ったら出会ったのは、まるまる一年前の『大衆の反逆』立ち読みしたら面白くて、『力なき者の力』を買わずに買ってきてしまった。(笑)

さて、本書は政治学の本でリベラルや保守という言葉が使われ一見すると宗教や仏教と関わらないと思えますが、その実は人間学であり、死者論であり、我々のあり方を問う部分もあります。
また、最終章は政治学というより、ソーシャルキャピタル(社会的資本)の話にもなっていて、これからの寺院を考える意味でも重要な文章が書かれています。
その中で私が好きなのは「懐疑することを懐疑しない」「疑うことを疑ってはならない。自己の存在をはじめ、あらゆるものを徹底的に疑う。それが実は健全なる何かをつかむことにおいて重要なのだ」という表現です。
指南役の中島さんは、第1回でオルテガの「私は、私の環境である」という言葉を解説する中で、仏教に触れて「「無我の我」というように、「絶対的な私はない」と気付いたときに初めて「私」という現象を引き受けることができるという逆説が、仏教の本質なのです。」とのべ、自己存在の脆弱性に触れています。
僕自身、まいてらのインタビューで述べましたが、信じるより疑うことを是とする考えを持っていて、人に信じよとは言えない人間です。
宗教者、仏教者としては、問題があるのかもといつも悩んできた自分としては、本書を読んで、ある意味「ほっと」した気持ちにもなったのは偽らざる本音です。
いろいろな意味で学びになった一冊です。
ちなみに・・後日、『力なき者のたちの力』も購入しました。(笑)
