カチカチ山とは、何度倒れても挑戦をやめない人のこと
柴村恵美子社長がお話しされていた「カチカチ山」。
「あの経験があったから良かった。」
「失敗を価値に変える。」
この言葉を聞いたとき、僕は自分の41年間を思い出しました。
正直に言うと、高次脳機能障害の失敗は、一般的な失敗とは少し違います。
普通の人なら、一度失敗すると原因を理解し、次は気をつけようと学ぶことができます。
でも僕の場合は違いました。
記憶障害があるため、同じ失敗を何度も繰り返してしまいます。
「なんでこんなことを間違えるの?」
そう言われても仕方がないくらい、小学生でも間違えないようなことを間違えてしまうこともあります。
自分でも分かっているから、本当に悔しい。
言い訳では済まされない失敗です。
失敗が積み重なると、自信がなくなる
一度や二度ではありません。
何十年も失敗が続くと、自分に自信が持てなくなります。
「また失敗するかもしれない。」
「迷惑をかけるかもしれない。」
そう思うと、行動すること自体が怖くなります。
脳は24時間警戒モードになり、不安と恐れの中で生きるようになります。
そんな状態で毎日仕事へ行き、人と接し、新しいことに挑戦する。
今振り返ると、それだけでも本当によく頑張ってきたと思います。
弱っている人をさらに傷つける人もいた
そんな僕を見て、優しく接してくれる人もいました。
一方で、厳しい言葉をぶつけてくる人もいました。
当時は、「自分が悪いから仕方ない」と思っていました。
でも今は少し違う視点で見られるようになりました。
心に余裕がある人は、弱っている人を必要以上に追い詰めません。
反対に、自分自身も心のエネルギーが不足しているときには、無意識に弱い立場の人へ厳しく接してしまうことがあります。
だから今は、相手の言葉に自分の価値を委ねなくなりました。
それでも挑戦だけはやめなかった
何度も落ち込みました。
何度も「もう無理だ」と思いました。
それでも翌朝になると、また会社へ行きました。
また仕事を覚えようとしました。
また失敗しました。
そしてまた挑戦しました。
41年間、これを何度も何度も繰り返してきました。
今思うと、僕が積み重ねてきたのは成功ではありません。
どんな状況でも挑戦することを諦めなかった経験です。
逆境が人生に深みを与えてくれた
今になって思うことがあります。
この長い逆境は、僕から多くのものを奪いました。
でも同時に、お金では決して買えない宝物も与えてくれました。
人生に深みが生まれました。
人の苦しみに寄り添えるようになりました。
表面的な肩書きや能力ではなく、その人の心や魂を見ることの大切さを知りました。
そして何より、僕の見えない部分を見てくれる人たちと出会えたことです。
障害ではなく、一人の人間として。
できないことではなく、生き方そのものを見てくれる人たち。
斎藤一人さんの一番弟子、柴村恵美子社長も、その一人でした。
僕の体験に敬意を持ち、「よくここまで歩んできましたね」という気持ちで接してくださいました。
その温かさは、今でも心に残っています。
また、高次脳機能障害の当事者や、その家族の皆さんとも深いご縁をいただきました。
障害と向き合いながら毎日を生きる姿。
家族として支え続ける姿。
その一つひとつに、人間の強さと優しさを教えられました。
さらに、ありのままの僕を受け入れてくれる、器の大きな人たちとも出会うことができました。
無理に飾らなくてもいい。
頑張って普通を演じなくてもいい。
そんな安心できるご縁は、僕にとって人生最高の宝物です。
カチカチ山とは、生き方そのもの
だから今、「カチカチ山」という言葉を聞くと、こう思います。
カチカチ山とは、失敗しない人ではありません。
何度失敗しても、何度倒れても、そこから価値を見つけ、また立ち上がる人。
人生に起きた出来事を、自分だけの宝物へと変えていく人。
僕は41年間、失敗ばかりの人生でした。
でも、その失敗の数だけ、人の優しさに出会い、魂でつながるご縁に出会い、人生の深みを知ることができました。
だから今なら、心から言えます。
あの人生だったから良かった。
まだ道の途中ですが、この経験を誰かの希望へと変えながら、これからも「カチカチ山」の生き方を続けていきたいと思います。
感謝。

