高次脳機能障害の私がたどり着いた答え
「脳を鍛える」よりも「脳を休ませる」ことでした


先日、ブログ読者の方からこんなご質問をいただきました。



私は5年前に脳梗塞になり、高次脳機能障害になりました。


次から次へと記憶が消えていき、周りには理解されず、孤独と怒りの中で過ごしています。


色々なリハビリも試しましたが成果がありません。


高次脳機能障害はどんなリハビリをすれば良いのでしょうか?


良くなるのでしょうか?



とても胸が締め付けられるような内容でした。


なぜなら、私自身も41年間、その苦しみを経験してきたからです。


私は医師でも専門家でもありません。


ですから、


「これをやれば良くなる」


とは言えません。


ただ、一人の当事者として、


私自身が経験したこと、


そして実際に変化したことをお伝えしたいと思います。



私は35年間ずっと勘違いしていました


これは記憶障害になって35年ほど経った頃の話です。


2021年頃だったと思います。


それまで私は、


「事故前の健常者だった頃の自分」


を基準に生きていました。


元の自分に戻りたい。


以前のようにできるようになりたい。


以前のように覚えられるようになりたい。


そう思い続けていました。


でも今振り返ると、


それが自分自身を苦しめていた部分もあったように思います。


脳が損傷して能力が落ちているのに、


事故前と同じことを求め続けていたのです。


例えるなら、


幼稚園児が大人と同じことをやろうとしているような状態だったのかもしれません。


当然無理が生じます。


当然疲れます。


当然苦しくなります。


私はその状態を長年続けていました。



脳が常にキャパオーバーだった


今なら分かります。


私は常に脳がキャパオーバーになっていました。


できないことを無理してやる。


人と同じようにやろうとする。


情報を追いかける。


世の中についていこうとする。


仕事も頑張る。


副業も頑張る。


その結果、


脳が休まる時間がほとんどありませんでした。



転機になった一言


そんな頃、


ある方からこんな言葉をいただきました。


「脳を損傷した人は、一人で過ごす時間も大切だよ」


この言葉は私の人生を大きく変えました。



生活を大きく変えました


私は思い切って生活を変えました。


土日は家族と別行動にして、


一人でゆっくり過ごす時間を作りました。


たくさん寝る。


のんびりする。


自分のペースで好きなことをする。


生まれて初めて3日間の一人旅にも出かけました。


また、副業のようなこともやめました。


頑張ることを減らしていったのです。



できないことは人に頼るようにしました


面倒な手続き。


初めてやること。


複雑な作業。


そういったものは、


健常者である妻にお願いするようになりました。


私はやり方だけ伝えて、


実際の作業は妻に任せる。


最初は悔しい気持ちもありました。


でも今振り返ると、


これが脳への大きな負担軽減につながったと思います。



情報を減らしました


テレビを見ることもほとんどやめました。


ニュースも見ない。


世の中の情報も極力入れない。


総理大臣が変わったことを何か月も後に知ることもありました。


オリンピックが開催されていたことを後から知ることもありました。


以前の私は、


世の中の情報についていかなければいけないと思っていました。


しかし今振り返ると、


それ自体が脳への大きな負担だったのだと思います。



記憶訓練は私には合いませんでした


私は言語聴覚士さんによるリハビリや記憶訓練も受けました。


もちろん効果がある方もいると思います。


それを否定するつもりはありません。


ただ、私には合いませんでした。


訓練の後はぐったりしてしまい、


脳を鍛えるというより、


脳が疲れ切ってしまう感覚でした。


正直、


「もうやめてほしい」


と思うほどでした。



今振り返ると


私は


「脳を鍛えた」


というより、


「脳を守った」


「脳を休ませた」


という表現の方がしっくりきます。


やることを減らす。


情報を減らす。


悩むことを減らす。


できないことは人に頼る。


十分に休む。


そういう生活を続けていたら、


精神的に安定し始め、


少しずつ記憶力も改善していきました。



さらに私が感じていること


高次脳機能障害の方の中には、


「もっと頑張らなければ」


と思っている方が多いように感じます。


私自身もそうでした。


しかし今の私は、


頑張ることよりも、


脳の負担を減らすことの方が大切だったのではないかと思っています。


脳が疲れている状態でさらに頑張る。


それは例えるなら、


熱を出している人に走れと言っているようなものだったのかもしれません。



最後に


高次脳機能障害は本当に苦しい障害です。


見た目では分からない。


周囲から理解されにくい。


自分でも自分が嫌になる。


私も長年そうでした。


だからこそお伝えしたいことがあります。


私は35年後から変わり始めました。


そして41年経った今でも変化しています。


だから、


5年だから遅い。


10年だから無理。


そんなことはないと思っています。


少なくとも私は変化を経験しました。


もし今苦しいのであれば、


「もっと頑張る」


よりも、


一度


「脳を休ませる」


という視点を試してみてください。


そして事故前の自分と比べるのではなく、


今日を生き抜いている自分を認めてあげてください。


それだけでも心は少し軽くなるかもしれません。


同じ当事者として、心から応援しています。🍀