助走型の魂


〜ゆっくり走り出す人生の意味〜


僕は高次脳機能障害になってから、

自分の脳をずっと観察してきた。


記憶障害がある。


だから、

すぐに思い出せない

手順が出てこない

集中するまで時間がかかる


そんなことがよくある。


昔の僕は、


「なぜすぐできないんだろう」


と自分を責めていた。


でもある時、気づいた。


僕の脳は


助走型なんだ。



助走してから飛ぶ脳


助走型の脳は、


いきなり全力で走れない。


最初はゆっくり。


少しずつ思い出して、

少しずつリズムを取り戻す。


そして、


ある瞬間、


急にスピードが出る。


まるで飛行機が離陸するように。


滑走路を走り続けて、

ある瞬間


ふわっと空に浮かぶ。



魂にもタイプがある


最近、僕は思う。


これは脳だけの話じゃない。


魂にもタイプがある。


人生も同じ。


人によっては、


若い頃からどんどん成功する人もいる。


すぐ結果を出す人。


すぐ才能が開く人。


でも、


もう一つのタイプがある。


それが


助走型の魂。



助走型の人生


助走型の魂は、


人生の前半で

つまずいたり

苦しんだり

遠回りしたり


そんな経験をする。


思うようにいかない。


なかなか花が咲かない。


でもそれは、


失敗ではない。


それは、


助走。



助走はエネルギーをためている


飛行機が飛ぶためには、


長い滑走路が必要だ。


ゆっくり走りながら、


エネルギーをためている。


そして、


その助走が長いほど、


高く飛ぶ。


魂も同じ。


遠回りした経験。


苦しんだ経験。


理解されなかった経験。


それらはすべて、


魂のエネルギー。



障害は助走だった


僕は17歳で事故に遭い、


高次脳機能障害になった。


それまでの人生とは、


まったく違う世界になった。


できないことが増えた。


悔しい思いもたくさんした。


でも今は思う。


あの出来事は、


人生の終わりではなかった。


あれは、


助走だった。



助走が終わるとき


助走型の人生は、


ある日、


突然


風が吹き始める。


それまでの経験が、


すべてつながる。


苦しかったことが、


意味を持ち始める。


そして、


人生が


一気に動き出す。



僕の魂は助走型


だから今は思う。


僕の人生は、


遅れているわけじゃない。


遠回りしているわけでもない。


ただ、


助走している。


そして、


助走が終わるとき、


きっと僕は


今まで見たことがない景色を


見ることになる。



焦らなくていい


もし今、


うまくいかないことがあっても、


焦らなくていい。


それは、


助走の時間。


助走は、


止まっているように見える。


でも実は、


未来に向かって走っている。



僕は今日も、


ゆっくり助走している。


そして心のどこかで、


こう思っている。


きっとその先で、


魂は


大きく空へ飛ぶ。