記憶障害の脳は「助走型」
〜ゆっくり走り出す脳の秘密〜
僕は高次脳機能障害で、記憶障害があります。
新しいことを覚えるのが難しい。
手順を思い出すのに時間がかかる。
頭の回転も、以前よりゆっくりになった。
昔の僕は、
勉強もスポーツも得意で、
パッと理解して、すぐ動けるタイプだった。
でも今は違う。
何かを始めるとき、
最初はうまくいかないことが多い。
頭がぼんやりする。
仕事の手順を思い出すのに時間がかかる。
集中力も続かない。
でも——
しばらくすると、急にできるようになる。
まるで、
エンジンがかかったように。
⸻
脳にはタイプがある
最近、自分の脳を観察していて気づいたことがある。
それは、
僕の脳は「助走型」だということ。
助走型の脳は、
いきなり全力では走れない。
最初はゆっくり。
少しずつ、
• 思い出して
• 手順を取り戻して
• リズムを整えて
そして、
ある瞬間から
急にスピードが出る。
⸻
まるで飛行機の離陸
この感覚は、
飛行機の離陸に似ている。
飛行機は、
滑走路をゆっくり走り始める。
最初は
「本当に飛ぶのかな?」
と思うくらいゆっくりだ。
でも、
だんだんスピードが上がり、
ある瞬間、
ふわっと空に浮かぶ。
僕の脳も同じ。
最初は時間がかかる。
でも、
助走が終わると、
急に飛び始める。
⸻
なぜ助走が必要なのか
脳科学的に考えると、
記憶障害の脳は、
• 記憶の呼び出し
• 作業の手順
• 集中
これらをつなぐ
神経ネットワークが弱くなっている。
だから、
いきなりフル回転できない。
まずは、
• 神経回路を思い出し
• 回路をつなぎ直し
• 脳をウォームアップする
この時間が必要になる。
つまり、
助走。
⸻
助走は「弱さ」ではない
昔の僕は、
最初にうまくできないと
「ダメだ」
と思っていた。
でも今は違う。
助走は、
ダメな時間ではない。
助走は、
飛ぶための準備。
⸻
僕の脳の使い方
だから僕は、
自分の脳に合わせて生きることにした。
最初から完璧を求めない。
まずは
• 少しだけ始める
• リズムを作る
• 体を動かす
すると、
脳が少しずつ動き出す。
そしてある瞬間、
波に乗る。
⸻
助走型の人生
実は、
人生も同じかもしれない。
すぐに結果が出ないと、
人は焦ってしまう。
でも、
人生には
助走の時間
がある。
そして、
助走が終わると
大きく飛ぶ。
⸻
僕は今、助走している
高次脳機能障害になって、
人生は大きく変わった。
できないことも増えた。
でも、
この脳のおかげで
見えるものも増えた。
そして気づいた。
僕の脳は、
遅いわけじゃない。
ただ、
助走型。
だから今日も、
焦らず、
ゆっくり助走する。
きっとその先で、
また空を飛べるから。
