鏡に映る自分を癒す旅①


「イライラの正体に気づいた夜」

最近、庭の畑をキャンプサイトにして、夜はテントで眠っています。
虫の声を聴き、星空を見上げると、「自分も宇宙の一部なんだな」と心が穏やかになっていきます。
自然に包まれる時間は、不思議と自分の心を静かに整えてくれるのです。

そんなある夜、ふと大きな気づきが訪れました。


弟に対してイライラしていたのはなぜ?

僕は、弟の話を聞くといつもイライラしていました。
同じことを何度も言う。説明が長くて結論が見えない。
「またか…」と思うと、もう聞きたくなくなる。

でも星を見上げていた時に気づいたのです。
――これは弟にイライラしていたんじゃない。
僕は、自分にイライラしていたんだ、と。


できない自分を責め続けていた日々

高次脳機能障害になってから、できないことがたくさん増えました。
健常者だった頃の自分に戻ろうと必死にもがいていた時、心の中ではいつもこう叫んでいました。

「こんな自分じゃ嫌だ。プライドが許せない。」

失敗を重ねるたびに、
「小学生でも間違えないようなことを、なぜ自分はできないんだ」
と、自分を冷たく見下し、軽蔑していました。

誰かに怒られた時も「俺もそう思う」と、他人と一緒になって自分を責めていました。
心の中で自分を裁くことをやめられなかったんです。


開き直りと自己防衛

あまりに失敗が多すぎて、いちいち謝っていたら心が壊れてしまう。
だから僕は「どうでもいい、間違えたら直せばいい」と開き直るようになりました。
でもそれは「受け入れ」ではなく「自己防衛」でした。
本当は「できない自分」を責め続けていたのです。


弟は“鏡”だった

だからこそ気づいたんです。
弟が同じことを何度も話す姿は、実は僕の心を映していた。
「僕はわかってほしい」「僕を褒めてほしい」という僕自身の叫び。

弟は鏡だったんです。
僕が自分にイライラしていたことを、弟を通して見せてくれていたんだと。

そう思った瞬間、体がふっと軽くなり、心に「安心」が広がりました。
長年のイライラの意味が、やっとつながった気がしました。


過去の自分へのメッセージ

今の僕が、過去の“健常者に戻ろうともがいていた自分”に声をかけるなら、こう言いたい。

「あなたは本当に頑張っているよ。素晴らしいよね。
できなくても、みんなに理解されなくても、あなたには価値がある。
普通の人にはわからない、尊い努力や生き様がある。
それは全部、愛おしいし、誇りなんだよ。」

これは、斎藤一人さんの一番弟子・柴村恵美子さんが障害を持つ人に送ってくれるエールにも重なります。
「あなたの魂は素晴らしい魂なんだよ」
その言葉を、自分自身にも贈りたい。


おわりに

弟にイライラしていたのではなく、自分にイライラしていた。
弟は僕の心を映す鏡だった――。

この気づきは、僕にとって大きな一歩になりました。
次回は、**「失ったものを埋めようとする心の罠」**について書いてみたいと思います。