『「辛い」と言えなかった僕が、心の扉を開いた日』

「辛い」って、たった二文字の言葉なのに、
僕には、それが言えなかった。

高次脳機能障害になってから、僕はまるで“別の世界”で生きているようだった。

たとえば、視線を少し横にそらすだけで、
さっきまで考えていたことが、記憶ごと消えてしまう。
人と話していても、「あれ?なんの話だっけ…」って、真っ白になる。

こんなこと、誰に説明しても、なかなか分かってもらえない。
「記憶障害」と言っても、教科書に書いてあるようなこととは違って、
“生きることそのもの”が、こんなにも不安定になるなんて。

だから、僕は黙った。

分かってもらえないことは、言わない方が楽だった。
「辛い」なんて、なおさら言えなかった。


🧠 プライドという名の“最後の砦”

障害を負う前の僕は、優秀だった。
勉強もスポーツもできて、周りから信頼される存在だった。

だからこそ、「壊れてしまった自分」を認めたくなかった。

「こんなこともできないの?」
「もう前の君じゃないんだね」

そんな言葉を、他人からじゃなく、自分自身の心が囁いてくる。
その声に、ずっと苦しめられていた。


💥 限界を越えて、「辛い」を告白した日

ある日、会社でついに倒れた。

無理して、頑張って、笑顔を作って。
でも、身体も心も限界だった。

「ああ、もう、このままだと本当に死ぬかもしれない…」

その瞬間、ようやく、心の奥に押し込めていた言葉が出てきた。

「僕、障害を持っています。辛いんです。」

涙も出なかった。
ただ、その言葉を言えたことが、呼吸をするように自然で、やっと生き返った気がした。


🌱 自分を守るための“新しい在り方”

今は、無理しない。

できないことは、できない。
辛くなったら、休む。
助けを求めることは、恥ずかしいことじゃない。

それが、僕の新しい生存戦略。

他人の期待に応えるより、
自分の心に応えることを、何よりも大事にしている。


🌈「辛い」と言える関係性は、人生の宝物

もし今、誰かに「辛い」と言えない自分を責めている人がいたら、こう伝えたい。

それは、あなたの“弱さ”じゃない。
あなたの“優しさ”なんだ。

自分の感情で誰かを傷つけたくないから、
迷惑をかけたくないから、
そうやってずっと、自分を守ってきたんだよね。

でも、ほんの少しだけでいい。
心を許せる誰かに、「辛い」と言ってみてほしい。

僕も、そうやって人生が変わったから。


✨まとめの言霊

「辛い」と言えた瞬間から、
本当の“生きる”が、始まるのかもしれない。