第2章:感謝がくれる、やさしい光


「身近なものに、もっと感謝しよう」
そんな思いが、ふと心に浮かんだのは、昨日のことだった。

奥さんに、感謝。
娘がいてくれるだけで、感謝。
弟がそばにいてくれて、感謝。
そして、今この家に住めていることに感謝。
静かな朝、お風呂に入り、ミストシャワーを浴びながらリラックスできたこと。
…それだけで、心の中にじんわりと幸せが広がった。

「これって、昔の自分だな」と思った。

日常の何気ないことに、幸せを感じていた頃の僕。
そして、今まさにそういう感性を持っているのが奥さん。
小さなことを愛おしみ、大切に味わっている。

僕の大切な友人、女神さんも同じだった。
小さな自然や優しさに、涙が出るほど感動していた。

でも僕はというと――
気づけば“戦うための心”を育ててしまっていた。
鎧をまとい、氷のように心を固めて、困難を乗り越える毎日。
そうしなければ、生き残れなかったからだ。

でも、今。
その鎧を、そっと脱ぐときが来ている気がする。
固く凍っていた心を、少しずつ溶かして、
「本来の自分」に戻っていく時間なのかもしれない。

僕のこのゴージノの頭――
高次脳機能障害というダメージを負った脳で、
本当にがんばってきたと思う。
だからこそ、これからはもっと、
“自分自身をいたわる”ことを大切にしたい。

社会的には、家の着工数が減少している今。
それでも東京支店は多忙で、僕が担当している図面審査の仕事は特にハード。
法律が変わったことで、以前の1.5倍以上の量とプレッシャーがのしかかってきた。

それでも――
**「感謝しています」**と言霊で唱え続けていたら、
なんと上司から、心にしみるような温かいメッセージをいただいた。

感謝の波は、巡り巡って、必ず自分に戻ってくる。
それを体験として実感できた。

だから、これからも。
たとえアップアップの毎日でも、
心の奥でそっと「感謝しています」と言葉を響かせよう。

それが、自分を守り、癒し、
そして世界を変えていく魔法なのかもしれないから。