「会社でも鏡の法則が働いた 〜僕が変わると、周りも変わった〜」






4月。
法改正の影響もあり、職場が今までにないほどバタバタしていた。
やるべき仕事の量も質も一気に変わった。
そして僕の中でも、いろんな“限界”が重なった。


一気に来た「キャパオーバー」

僕は高次脳機能障害という「目に見えない障害」を抱えている。
それでも今まで、なんとかやってこれた。
1日4件、時にはそれ以上の案件もこなしてきた。

でも――
4月の変化は、思った以上に僕の“脳”にとってハードだった。
法律が変わる
フローが変わる
職場全体も混乱
僕は目の怪我も重なって、頭もぼんやりする日が続いた

結果として、今までのようには動けなくなってしまった。
1日4件が、2件、3件になった日もある。
「ちゃんとやってるのに、できない」――そんな日々だった。


そして、周囲からの声が聞こえた

ある日、Sさんがこう言った。

「今までたくさんやってくれてたけど、
最近はあまりやってくれなくなったから、影響が出てきた」

「みんなも大変で…ぐちゃぐちゃだったけど、なんとかやってきたんだよ」

この言葉に、ちょっと心がザワついた。
わかってほしいけど、言えない。
できることはしているのに、伝わらない。

でもそのとき、ふと気づいた。


弟とのやりとりが、僕を変えた

家では、弟が脅迫性障害を抱えているとわかった。
僕と同じように「安心できない脳」を抱えて生きている弟。

以前は「早くしろよ」とか、「またかよ」と言ってしまっていたけれど、
最近は少し待ってみたり、
「一緒にやろうよ」と声をかけるようになった。

その変化で、弟の行動が少しずつ変わってきた。

「理解しよう」とする気持ちが、相手の中の安心を育てていく。
僕はそれを弟から教わったんだ。


職場でも、同じようなことが起きた

部長の指示もあったかもしれない。
でも最近、職場の人たちが、僕に対して少しずつ声をかけてくれるようになった。
「大丈夫?」
「一緒にやっていこうね」
「無理しないで、でも早めにね」

不思議だった。
まるで、僕が弟に対して“変えた対応”が、会社の人たちに反映されたようだった。

「僕の行動が、鏡になっていた」


だから、僕も変わろうと思った

「早くやれ」と言われたとき、昔なら心が塞がっていた。
でも今は違う。
僕自身も、“周りが見てくれている”と感じられたから。
朝少し早く動いてみる
負担の少ないところから手をつける
一工夫して、少しでも前に進む

それが、できるようになってきた。


まとめ:鏡の法則は、いつも静かに働いている

僕が弟に対して変わったことで、
会社の人たちも僕に対して変わってくれた。

「わかってくれない」と思っていた世界が、
「共に歩こう」とする世界に変わりはじめた。

障害は見えない。
だからこそ、心の在り方が“伝わる空気”になる。

これからもたぶん、大変な時期は来ると思う。
でももう、ひとりで背負わなくていい気がした。


人のやさしさは、
こちらのやさしさを鏡のように映してくれるものなんだ。