発酵とは、いのちの働き


~見えないところで変化する自分を信じて~


寺田啓佐さんの『発酵道』という本を読んだとき、心の奥で何かがふわっと動いたのを覚えています。

発酵とは、目に見えないけれど、たしかに起こっている“いのちの働き”。

それは、僕の人生にも、どこか似ていると思ったんです。


最近、目を怪我してしまい、物理的に世界がぼやけて見える日が続いています。

でも不思議と、「心の目」が研ぎ澄まされてきた感覚があります。

見えないものを感じる力。心の奥で誰かとつながる感覚。

それが、まるで発酵のように静かに育っているんです。


記憶ができなくなった僕の世界では、“直感”が生きる羅針盤。

何気ない出会いや出来事が「偶然」ではなく「必然」のように感じられる。

人を引き寄せる力も、以前より強くなったように思います。


日々の生活では、ちょっと視線をずらしただけで記憶が飛んでしまう。

だからこそ、全神経を今に集中させて、瞬間瞬間で判断する力が育ってきました。

これもまた、自分の中で進む“いのちの発酵”なのかもしれません。


発酵は腐敗と紙一重。

でも、その違いは“どう捉えるか”の意識にあるのではと感じています。

どんな出来事も、チャンスと見るか、絶望と見るか。

僕は「良くなるための過程」だと信じてみたい。

宇宙的な視点、神さまの視点で、すべてに意味があると考えることに救われてきました。


周りの人たち、SNSで繋がっている仲間も、見えない菌のように僕を育ててくれている気がします。

まるで魂の発酵をサポートしてくれる存在。ワンネス。以心伝心。

神秘的で、あたたかい。


大きな試練を通じて、僕という人間は、より深く、より大きく発酵している。

神さまが絶妙なタイミングで手を差し伸べてくれるように、

「腐らないで学べば、上に行ける」──そんな感覚があります。


だから僕は、信じたい。

目に見えなくても、今この瞬間も“発酵”は進んでいる。

この障害の中で育っていく“いのちの力”を、

今日も大切に感じながら生きていきたいと思います。