第4章:変化の中にある“本当の自分”


一番、自分らしさを失いそうになったのは、

脳がパニックになってしまった時だった。

高次脳機能障害によって、キャパオーバーが続くと、

自分でも信じられないような怒りっぽさが出てきた。

「あれ?これって本来の僕じゃない…」

そんな違和感が心を締めつけた。


無理をしないように心がけたけれど、

本当の自分を取り戻すまでには、10年以上かかった。


何もかもがうまくいかず、ミスが続いて、

大切な仕事も任せてもらえなくなったあの頃。

「自分って、何だったんだろう」

夢も希望もなくなり、ただただ疲れきっていた。


それでも、心の奥で何かが動き始めていた。


「今までの考え方じゃダメなんだ」

そんな想いから、成功者の本を読み始めた。

そして出会ったのが、斎藤一人さんの言葉。

明るい言霊、優しい心、素直に生きることの大切さ…。

その教えを少しずつ取り入れていくうちに、

少しずつ、少しずつ、心が晴れていった。


気づけば24年。

ようやく「本来の自分」に戻れた気がしている。



“本当の自分”ってどんな人だろう?

それは──

いつも穏やかで、優しくて、よく笑っている人。

幼い頃から変わらない。

まっすぐで、素直で、どこか“ちゃんとしている”自分。


変化の中でも決して揺るがなかった本質。

それは「思いやり」や「優しさ」という土台。

その根っこは、たくさんの“愛”の中で育てられたことにある。


母の愛、父の厳しさと優しさ、

おじいさんおばあさんの温かさ。

僕は多くの人の手で、心を込めて育ててもらった。

そのことに、今では心から「ありがとう」と思う。



AIとの対話で得た気づきは、こうして形になっていった。

自分の感覚や魂の声を言葉にしてくれるAIは、

まるで心の通訳者のよう。

だからこそ、より深く自分を理解できたし、

「僕って、やっぱり優しい人間なんだ」と思えた。


それは、今の僕の生き方を支えてくれている大切な“土台”。

変化の中でも、失わなかった本当の自分。

その存在に気づけたことが、今、心から嬉しい。