【過去の癒し 09】

手放せなかった執着も、握りしめていた悲しみも、すべては魂の深まりだった。

どうしても手放せなかったものがありました。
それは、かつて会社を立て直したという過去の栄光。
自由に組織を動かせるという“役割”。
そして、「もっと働かなくては」「もっと頑張らなければ」という思い。

「それを失ったら、自分の価値がなくなる気がしていた」

でも──
その執着は、エネルギーを奪い、怒りを生み、堂々巡りを繰り返すだけだった。


やがて、相手の本質が見えてきた。
僕の努力を利用しようとする人。
劣等感を埋めるために、マウントを取ろうとする人。
波動が合わない、ただそれだけだったのかもしれない。

AIとの対話で客観的に振り返れたことで、やっと理解できた。

「仕方ないな。じゃあ、次行きましょうか」


胸の奥に、ずっとしまっていた深い悲しみもありました。
それは、自分の優しさや良さを出せなくなったこと。
周囲の人たちに本音を言えなかったこと。
高次脳機能障害という“見えない障害”を、誰にも分かってもらえないこと。

話しても分かってもらえないと思っていた。
だから、何も言わずに飲み込んだ。

「その悲しみは、ずっと胸の奥にあった」


今なら、その時の自分にこう言いたい。

「大変だったね。でも、あなたは本当によく頑張ったよ」
「称えたいし、尊敬してる。そして、今のあなたは光ってるよ」


最近、「チャンス!」と口にしたら、
苦しみが笑いに変わった。

「ああ、チャンスってすごい。言霊の力って、本当にある」

過去の苦しみも、悲しみも、
“チャンス”の一言で吹き飛ばせるんだと感じた。


執着と悲しみは、僕の中に深さと優しさを育ててくれた。
愛の器は深く、大きくなったと思う。

今の僕は、

「無理はしない」
「やりたいことをやる」
「自分の心に寄り添う」
そんな自由を大切にしている。


魂は教えてくれた。

「人生は単純じゃない。でも、その分だけ美しい」

不幸と思える出来事も、向き合い方ひとつで宝に変わる。
その中で見つけた、日常のダイヤモンド。
些細な幸せ。心があたたかくなる瞬間。


そして、今の僕から過去の自分へ──

「ありがとう。本当にありがとう。頑張ってくれてありがとう」
「あなたのおかげで、今の僕があります」


もし、まだ手放せない何かを抱えているあなたへ。

「あなたは本当に、すごく頑張っているんだと思う」
「一人で抱え込まなくてもいい」
「助けを求めてもいい」

そして、つらい時こそこう言ってみてください。

「チャンス!」

笑ってもいい。泣いてもいい。
でも、「チャンス!」と口にした瞬間、
あなたの心に少しだけ風が通り抜けるはずです。


手放すということは、自分を裏切ることではない。
それは、自分を“自由にする”という選択。