心の目で見てみたら、Sさんはとてもいい人だった。
Sさんとのやりとりに、最近ちょっと変化を感じた。
これまではメールだけのやり取りで、しかもどこか棘のある言い回しが多かった。
僕の名前をあえて出して、「小川の代わりにやってます」って、何度も書かれてきた。
本来、僕の業務ではないことをわざわざ「代わりにやっている」とアピールされると、
正直、あまりいい気はしなかった。
でもそれも、きっと僕の中にあった「傷」や「思い込み」を映していたんだろう。
それが、「鏡の法則」なのかもしれない。
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Sさんが電話をかけてきてくれた日
昨日、Sさんがめずらしく電話をかけてきてくれた。
いつもなら「電話してください」と言われる立場なのに、今回はSさんが自分で電話をかけて、丁寧に説明してくれた。
それだけで、なんだかすごく嬉しかった。
「あ、今、心が通じたかも」って思った。
そのあとも、いつもと違って、やわらかいトーンのメールが来た。
履歴が残らない“スティッキー”というツールで、親切なコメントもくれた。
そして最後には、「お客様にはこのようにお伝えしてありますから、ご安心くださいね」という、
まるで僕のことを気遣うような言葉が添えられていた。
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僕が変わったから、Sさんも変わった?
たぶん、僕の波動が変わったんだと思う。
「嫌だな」「またこういう書き方か」と思っていた気持ちを手放して、
「でも、この人の中にもきっと優しさがある」と見てみた。
“心の目”で見てみたんだ。
すると、本当にその通りになった。
Sさんは「敵」じゃなかった。
むしろ、不器用なだけで、本当はとても真面目で優しい人だったのかもしれない。
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愛で返すと、世界が変わる
僕は高次脳機能障害がある。
そのために業務は一つに絞ってもらっていて、それが一番集中できる方法。
それが、前の部長と話し合って決めた合理的配慮であり、
そのおかげで僕は倍以上の成果を出せるようになった。
でも、外から見ると、そうは見えないのかもしれない。
「健常者と同じようにできるのでは?」と思われることもある。
だから、Sさんのような真面目な人にとっては、
「どうして私ばかりが…」と感じてしまうこともあったのかもしれない。
でも、それでも、僕は愛で返したいと思った。
怒るんじゃなくて、責めるんじゃなくて、
「ありがとう」と言葉にして、心で伝えた。
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すると、世界は少しだけやさしくなった。
これは不思議な体験だった。
相手を変えようとしなくても、自分の視点を変えただけで、
相手の行動まで自然とやさしくなっていった。
もしかすると、Sさんもずっと、誰かにわかってほしかっただけなのかもしれない。
今、僕の中にあるのは、感謝とやさしさだけ。
Sさんに「ありがとう」と言いたい。
そして、心の目で見てくれたすべての人に、「ありがとう」と言いたい。
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僕はこれからも、「心の目」で世界を見ていく。
誰かの言葉が刺さるとき、
誰かの態度が冷たく感じるとき、
きっとそれは「自分の中の何か」を教えてくれているサイン。
だから、僕はいつも自分に問いかける。
「これは、どんな学びだろう?」「この人の中の光はどこにあるだろう?」
そして、「全てを肯定する」世界に戻っていく。
Sさん、ありがとう。
あなたのおかげで、また一歩、本来の自分を思い出せた気がします。
