「これでいいんだよ」って言えたとき、心が自由になる

〜自分をいじめるクセを手放すまでの物語〜



いつからだろう。

僕が自分を責めるようになったのは。


仕事でミスをして、お客様に迷惑をかけたとき。

約束を守れなかったとき。

キャパオーバーでイライラして、思わず怒ってしまったとき。

そんな自分を見て、心の中で叫んでいた。


「これは本当の自分じゃない」


でも、怒ってしまったのも、忘れてしまったのも、

脳の障害によるものだった。

それでも僕は、自分を責める言葉を止められなかった。



【人と比べてしまう苦しさ】


記憶が毎日リセットされる僕は、

同じ仕事でも毎日“初めて”のような感覚。

周りはどんどん成長していくのに、僕は変われない。

そんな自分を見て、切なくなった。


でも今は、少しずつ思えるようになった。


「昨日の自分と比べればいい」

「今日もこうして生きてる。それだけですごい」



【「これでいいんだよ」がくれた安らぎ】


最近、うまくいかなくても精一杯やっている自分に、

自然とこう言えるようになった。


「これでいいんだよ」


その言葉は、40年以上抱えていた心の重さを、

ふっと軽くしてくれた。


自分の状況を深く理解し、

責めるより、受け入れる。

それだけで、心がすっきりした。



【記憶できないことも、僕の一部】


記憶障害によって、忘れてしまうことは今でもある。

仕事で迷惑をかけることも、悔しい思いも、たくさんした。


でも、そんな自分にこう言ってあげたい。


「忘れてしまうのも、愛される僕の一部」

「それでも、今日もこうして頑張っているじゃないか」



【癒されたのは、自分の言葉だった】


昔の僕は、

「なんで失敗したんだよ」「そんなのもできないのかよ」

と、自分を傷つける言葉ばかり使っていた。


でも今は違う。


「あなたは本当に障害を抱えながらも、

毎日一瞬一瞬を真剣に生きてきた」


「結果がどうであれ、あなたは素晴らしい人間です」


この言葉を、自分の心にしっかりと届けたい。



【忘れても、また出会える】


仕事の記憶は、眠ると消えてしまう。

でも不思議と、やっているうちに思い出してくる。

身体や感覚が覚えているのだ。

そう、魂が覚えているのだ。


忘れても、何度でも思い出せる。

それは、人生においても同じだと思う。



【優しくなれた今、見える世界】


昔の僕は、いつも緊張していた。

でも、今は違う。

心が穏やかになった。

自分に優しくすることで、周りにも優しくなれるようになった。


そして、あの頃の自分にこう言ってあげたい。


「あなたは一つ一つのことに真剣で、

自分と、障害と、誠実に向き合っていた。

本当に素晴らしい人間だよ」




自分をいじめるクセを手放すには、

とても時間がかかったけれど、

だからこそ、今のこの優しさと自由がある。


忘れても、失敗しても、怒ってしまっても、

それもぜんぶ、愛すべき自分の一部。


今日もまた、自分にこう言ってあげたい。


「これでいいんだよ。よくやってるよ」