やさしくなるために生きている 〜家族への小さな祈り〜


ふと立ち止まり、自分に問いかけてみた。


「僕は、なぜ生きているんだろう?」


その答えが、今の僕の心に浮かんできた。

やさしくなるために、生きている。


この言葉が、今の僕を支えている。



【弟への祈り】


アスペルガーの弟は、何度も同じことを繰り返して言ったり、

小さなことでも「もうできない」と言ってしまう白黒思考の持ち主だ。


そのたびに、僕の中にはイライラが湧いてきて、

「早くしてよ」「もう聞きたくない」と思ってしまうこともあった。


でも、そんな自分に気づくとき、

心の奥から湧いてくる声がある。


「そうだよね、わかるよ。」


弟の中には、僕には想像もできないような

“世界と闘いながら生きている姿”がある。

それを少しでも理解しようとすること――

それが、僕のやさしさの練習になっている気がする。



【母への祈り】(天国の母へ)


お母さん、ありがとう。

僕は一人で生きたかった。自立したかった。

何でも自分で決めて、強くなりたかった。


けれど今、わかります。


あなたが、どれほど深く僕を思ってくれていたか。

あなたの何気ない言葉、

あたたかなまなざし、

背中越しの優しさ。


それらすべてが、

僕をまっすぐで、素直な人間に育ててくれました。


いま、僕はあなたの愛に支えられて生きています。

だからこう伝えたい。


「たくさんの愛をありがとう。僕は、家族のために一生懸命生きています。」



【奥さんへの祈り】


奥さんに僕の気持ちが届いていないと感じる日もあった。

どうして伝わらないんだろう、と落ち込んだこともある。


でも今は、少し違う気持ちがある。


きっと僕が気づかないだけで、

奥さんの中には僕を思っている“静かな時間”がある。


言葉にしなくても、態度に出さなくても、

その思いやりが、ふとした瞬間に伝わってくる。


それが、今の僕を安心させてくれる。



【そして今、生きている意味】


弟と、お母さんと、奥さんと。

ぶつかって、悩んで、立ち止まって――

それでも、愛し続けたいと思った。


その思いこそが、

僕がこの世界にいる理由なのかもしれない。


やさしくなるために、生きている。


この言葉を胸に、今日もまた、小さな一歩を踏み出していく。

祈るように、優しさを育てながら。