〜命を重ね煮するように生きる〜
⸻
【第3話】
「ちゃんとしなくていい」と気づいたとき
⸻
ずっと、“ちゃんとしなきゃ”って思って生きてきました。
人と同じように、きちんと働いて、失敗せずに、
誰かに迷惑をかけないように……
そうやって無理を重ねてきた。
でも、ある日、僕は倒れました。
精一杯頑張って、朝早くから仕事をして、
限界を超えていたことに、自分では気づけなかった。
身体が動かなくなったその瞬間、
「ああ、僕、ここまで本当に頑張ってたんだな」
そう思いました。
⸻
あの時の僕に、今こう伝えたいです。
「できる範囲でいいんだよ」
「あなたは障害を背負って、それでも本当に頑張ってる」
「ちゃんとしてなくたって、生きていける。大した問題じゃないよ」
周囲の基準じゃなくて、
“自分のベストを尽くしているか”を自分の基準にすればいい。
そうすれば、生きることはもっと軽やかになる。
⸻
「ちゃんとできない自分」を、ようやく抱きしめられたのは、
あの倒れた日の体験があったから。
命の危機に触れて、やっと気づけたんです。
僕はもう、十分すぎるくらい頑張ってきた。
心から、自分にそう言ってあげたかった。
⸻
そして、ある日出会った言葉――
船越さんのYouTubeで聞いた、
「生きてるだけで100点満点」
この言葉が、すべてを包み込んでくれました。
「ちゃんとしてないと価値がない」と思っていた僕の心に、
優しく、深く、響いたんです。
⸻
ああ、もういいんだ。
頑張らなくても、
忘れても、
できなくても、
ただ、生きているだけで、僕は100点なんだ――。
そう思えたとき、
ずっと自分を責めていた心がふっと緩んで、
静かに、自分を許すことができました。
⸻
今の僕を、心から抱きしめてあげたい。
よくぞここまで生きてきたって、
盛大な拍手と、温かいハグを贈ってあげたい。
⸻
「ちゃんと」じゃなくて、
「そのまま」で生きていく。
その方が、命も、心も、きっと幸せです。
