「生きているだけで100点満点」


〜命を重ね煮するように生きる〜



【第2話】


評価も成果もない日々にこそ、命の光がある



「何か成果を出さなきゃ…」

そんな焦りに、何度も押しつぶされそうになったことがあります。


とくに最近は、

やるべきことを目いっぱいこなしているのに、

「今日ははかどらなかったな」と感じてしまうことがありました。


何か成果が欲しくて、

誰かに認められたくて、

朝6時に出勤して仕事を始めたこともあります。


でも、頑張りすぎた結果――

僕は倒れてしまいました。



高次脳機能障害を背負った僕の脳は、

もう健常者の時のようには働けない。

それでも、「前と同じようにやらなきゃ」と無理をして、

限界を超えてしまうことがある。


それが“現実”なんだと、ようやく少しずつ受け入れられるようになってきました。



評価されない日々――

誰にも褒められず、数字にも残らない。


そんな日々の中で、どうして自分を信じられたのか。


それはきっと、

「自分にできること」を、ただ淡々と積み重ねるしかなかったからです。


もしそれすらやめてしまったら、

自己重要感もなくなって、

生きる気力もすり減ってしまう。


だからこそ僕は、

毎日、「今できること」をひとつずつ、

静かに淡々と重ねていくことを選びました。



それは、“数字”ではないところで自分を信じるということ。

誰かに評価されなくても、

「今日、自分は一生懸命だったか?」という問いに、自分で答えるような感覚。


進歩がなくてもいい。

逆境ばかりでもいい。

ただ、命と向き合っているという感覚だけは、

確かに僕の中にあったのです。



そしてあるとき、ふと思ったのです。


**「成果」や「効率」から自由になったとき、

本当に大切なものが見えてくるのかもしれない――**と。


数字が伸びなくてもいい。

目標に届かなくてもいい。


自分のペースで、自分なりのベストを尽くせたなら、

それで“100点満点”でいいじゃないかって。



それは、きっとすごく健全なことなんだと思います。

僕たちは、他人の評価を生きるために生まれてきたわけじゃない。

命を、自分のリズムで、ちゃんと生きるためにここにいる。


それに気づけたことが、

もしかしたら、僕にとっての一番の“成果”だったのかもしれません。



評価がなくても、

何も達成できなかった日でも、

命はちゃんと光っている。


その光を信じて、今日もまた、静かに命を重ねていきます。