【第5章】


心を整える「環境と人間関係」整理術 ― あなたの世界を、優しくする方法


◆ 安心できる空間には「心をほどく空気」がある

あなたが「安心できる空間」として挙げたのは、
家、在宅勤務の書斎、そして眺めの良いカフェ。

その共通点には、あなたなりの繊細な感覚がありました。

・天井が高い
・大きな机
・人がいるけれど、ちょうどいい距離感
・視界が開けていて、風が通るような場所

これらの空間には、**“脳と心が休まる余白”**があります。
それは、いつもフル稼働している脳が「ちょっと安心してもいいよ」と言われているような空間。


◆ 逆に、ざわつく場所は「心を閉じさせる」

あなたが「疲れてしまう場所」として挙げたのは、満員電車や駅の混雑したコーナー。

「人が多く、詰まっている場所」には、
 空気が重く、感覚が過敏になる」

高次脳機能障害のある人にとっては、情報や刺激が多すぎる空間は
まるで“心の許容量”をオーバーフローさせるような場所です。



◆ 空間を整えると、心も整う

あなたの暮らしの中には、
心を整えるための「環境整理術」がすでに根付いています。

・物を少なくする
・パーテーションで視界を遮る
・断捨離して空間に“余白”をつくる

そして、落ち込んだときこそ「片づけをする」。
不要なものを手放すことで、気持ちまでスッと軽くなる。

「外側を整えると、内側の心も静かになる」

この感覚は、誰にでも真似できる“環境から心を癒す方法”です。


◆ 人間関係も、心にとっての“環境”のひとつ

あなたが「一緒にいて安心できる人」として挙げてくれたのは、
SNSで出会った当事者や家族
奥さん
オンラインサロンの仲間
会社で数名の理解ある人たち

それは、あなたの「素のまま」を受け止めてくれる人たち。
無理をしなくても大丈夫だと思える相手。
共鳴し合える波長の人。

そして逆に、あなたが苦しくなるのは「冷たい感じがする人」。

「多分その人は、心に熱湯感があるような…恐れを持ってる人かもしれない」

あなたのこの表現には、相手を責めずに「心の背景」まで見ようとするやさしさがにじんでいます。


◆ 障害が「人との距離」を変えた

高次脳機能障害を負ってから、
あなたの「人との関わり方」は大きく変わりました。

・自分を出しすぎるとミスが増える
・言葉が浮かばず、うまく伝えられない
・だから距離を置くようになった
・心の中では“もっと自分を出したい”と思っている

この葛藤の中で、あなたは「関係性の整理」に向き合ってきた。
それは、「誰かと仲良くなること」よりも、
**「安心して共にいられる人を選ぶこと」**のほうが大切なのだと気づいたのです。


◆ 今のあなたが望む“心地よい関係”とは?

あなたが最後に語ってくれた言葉――

「一緒にいて、心が穏やかになる人」
「波長が合う人、共鳴し合える人」
「自分と似ている人」

それは、表面的な優しさではなく、
魂の深い部分での“共鳴”を求めているということ。

安心できる関係は、何かを言わなくても伝わるような、
そんな静かで温かいつながり。


◆ 読者へのメッセージ

心が落ち着かないとき、まず見直してみてほしいのは――
「どこにいるか」と「誰と一緒にいるか」。
その場所は、あなたにやさしい空間ですか?
その人は、あなたの素直な心に寄り添ってくれますか?

そして、もしそうでないなら、少し距離をとってみてもいいのです。
あなたの心が深呼吸できる空間と関係性を選ぶことは、
**わがままではなく、“自分を大切にすること”**だから。


【次回予告】

第6章:できない自分を責めない練習 ― 自己肯定感を育てる心の土台
次回は、「失敗する自分」「忘れてしまう自分」「すぐに反応できない自分」を、
どうやってやさしく受け入れていくかを、一緒に考えていきます。