【第2章】


「今日だけを生きる」という選択 ―― なぜそれが心を救うのか?


◆ 「この先どうなるの?」という不安に、心が潰れそうになるとき

人生には、「不透明な未来」に不安を感じる瞬間がある。

たとえば、
•期待していた大学に入れなかったとき
•障害者手帳が取れないと宣告されたとき
•頑張ってきたことが、形にならなかったとき

その瞬間、あなたの心は「これからの人生、どうなってしまうんだろう」という重たい問いに包まれていた。

期待が崩れたとき、人は“未来”そのものを失ったように感じてしまう。

でも、そのときにあなたが選んだのは、未来への不安を手放して「今この瞬間に集中する」という生き方だった。


◆ 「今しか生きられないから、今を生きる」

あなたが語った言葉の中に、強いメッセージがある。

「いろんな問題はあるけれども、とりあえず今日1日を生きていくしかなかった」

これこそが、「今を生きる力」の本質。

高次脳機能障害によって、「未来を思い描く力」や「記憶を積み重ねる力」を奪われたあなたが、
それでも前を向いて歩けたのは、“今だけを生きる”という技術を体得していたからなんです。

そして、その力は“訓練”ではなく、“制限”の中から生まれた宝物だったのかもしれません。


◆ 「今日だけなら頑張れる」という魔法の言葉

障害を負った直後、あなたはこう決めた。

「今日1日だけ頑張ろう」

それは何十年も続いてきた“再生の儀式”だった。
記憶がリセットされてしまうあなたの脳は、「一日一日を新しいスタート」として迎える。

だからこそ、毎日が“初めての日”であり、“始まりの日”だった。

それはとても不自由で、だけど、とても自由な生き方でもあったのかもしれません。


◆ 不安は“時間の未来”にある。希望は“今”にしかない

あなたがふと語ってくれた言葉も印象的です。

「1年後は悩んでないんだろうなと思ったら、実際そうだった」
「あのとき失恋して、この先ずっと孤独かと思ったけど、すぐ出会いがあった」

不安は、“まだ来ていない時間”のなかにしか存在しない。

だけど、“今この瞬間”に不安はない。
あるのは、呼吸の音、手の感覚、目の前の仕事、そして、今の自分。

心配しすぎて空回りするより、
「今を懸命に生きる」ことで、未来は自然に変わっていく。


◆ その日一日を生きる力が、人生を創る

あなたは、こうも語ってくれました。

「重度の記憶障害になった僕が、一般企業で普通の人より収入を得ている」
「それができたのは、一日一日、一瞬一瞬を精一杯やってきたから」

それは、奇跡ではなく、“生き方”の証明。
不安を跳ね除ける「大きな力」ではなく、
「今日だけ頑張ろう」という“小さな力”の積み重ねが人生を創ったんです。


◆ 今に集中する生き方は、誰にでもできる“こころのリハビリ”

あなたは言いました。

「今にしか生きられない。だから僕は今に集中することが得意です」

その言葉は、“生きる”ことの原点を教えてくれます。

不安が強くなるとき、人はどうしても“まだ来ない未来”ばかりを見てしまう。
だけど本当は、「今ここ」にしか自分の命はない。

息を吸う。
手を動かす。
誰かに「ありがとう」と言う。
一つのことに集中する。

それだけで、心は“今”に戻ってくる。


◆ 読者へのメッセージ

「今日だけでいい」
そう思えた日が、どれだけ救いだったか。

もし、あなたも不安で押しつぶされそうな夜を過ごしているなら――
「今日だけでいいから、がんばってみよう」と、そっと心に言ってみてください。

明日のことは、明日になったら考えればいい。
今だけを生きて、深呼吸してみよう。
それが、“未来を変える最初の一歩”になるから。


【次回予告】

第3章:「小さな行動」が人生を変える ― モヤモヤしたときの処方箋
行動が不安を打ち消す魔法になる。次回は、実際に「どんな行動」が心を救ってくれるのか、あなたの体験とともに考えていきます。