第6章:「魂はつながっている〜目の前の人は、過去の自分〜」
最近、ふと気づいたことがあります。
目の前に現れる人たちが、まるで昔の自分のように見えるということ。
不安を抱え、恐れに足をとられながらも、
それでも明るい未来を信じて、一歩ずつ歩いている。
そんな10人ほどの人たちが、立て続けに現れたんです。
それはまるで、**「過去の自分たちが、今の自分に会いに来た」**かのようでした。
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■僕は、記憶を失って、生き直している
僕は事故により、高次脳機能障害を負い、重度の記憶障害になりました。
日々の出来事がまるでリセットされるように、
どんなに慣れた仕事でも、毎朝「初めて」のような感覚で向き合う。
やがてその積み重ねは、**二次障害(心の不安や絶望)**へと変わっていきました。
「どうすれば、この不安から抜け出せるんだろう」
「誰か助けてくれないかな…」
そんな思いで、心の中でずっと叫んでいたのを覚えています。
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■あの頃の自分に伝えたい言葉
もし今、あの頃の僕に声をかけられるなら、
そっとこう言ってあげたい。
「あなたの心が弱いんじゃないよ。
それは“脳の反応”なんだ。
無理しなくていい。がんばらなくていい。
脳に負担をかけず、まずは“安心”が一番大切だよ」
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■救いは、SNSという“見えない光”から
ある日、勇気を出してSNSで気持ちを発信してみたんです。
すると、驚くほどたくさんの優しい人たちが、
心に寄り添う言葉を送ってくれました。
その瞬間、重くのしかかっていたものがスッと軽くなった。
「一人じゃなかった」
「誰かが、ちゃんと見てくれていた」
それが、僕にとって大きな“魂の救い”でした。
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■怒りの奥にあるのは「悲鳴」だった
僕が人にイライラしてしまう時、それは「性格」ではなかった。
それは、脳がパンク状態になって発しているSOSだった。
無理をしない。キャパオーバーの自分を責めない。
それが、穏やかに生きるための鍵だと、今ならわかります。
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■伝えたいメッセージがある
今、僕が届けたい言葉はこうです。
「あなたに乗り越えられない問題は起きません」
「自分には力がない」と思っても、本当はちゃんと持っています。
自分を信じてみてください。
小さな一歩でも、必ず人生は動き出します。
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■魂は、本当に“つながっている”
「こんな人に会いたい」と願ったら、
まるでその想いが届いたかのように、その人が現れる。
そんなことが何度もありました。
高次脳機能障害というキーワードで再会した仲間たち。
長い人生をそれぞれ歩んだのちに、「また50年後に会おう」と決めていたかのような感覚。
ある人は僕の心を、言葉よりも早く感じ取ってくれました。
またある人は、前世からのつながりを感じさせてくれる不思議な感覚をもたらしてくれました。
そして、亡くなったはずの人が夢に現れ、
助けてくれたように思える瞬間も、何度もありました。
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魂は目に見えないけれど、
響き合う波動は確かに存在していて、つながっている。
誰かに優しくしたくなる時、
それは過去の自分に手を差し伸べているようなものかもしれない。
目の前の人は、かつての自分であり、
いまの自分の姿でもある。
そんな風に世界を見るようになってから、
生きることが、少しだけ優しくなりました。
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次回:
第7章「“生きていてくれてありがとう”〜存在そのものが誰かの光になる〜」
