【本当の自分で生きる勇気】


— それは、誰かになることをやめた瞬間に生まれる —



【1章】“なりたい自分”の影に隠れていた「本当の私」


僕はずっと、

“ちゃんとした人間”であろうとしていた。


忘れない人。

スムーズに話せる人。

できる人。頼られる人。愛される人。


高次脳機能障害という名前がつく前も、ついたあとも、

その「理想の自分」になろうと、必死だった。


でもある日、ふと立ち止まった。


その“なりたい自分”を演じているとき、

**僕の本当の心は、どこにいたんだろう?**と。


そう問いかけたとき、

胸の奥で、小さな声がした。


「ねえ、本当は、もう頑張りたくなかったよね?」



【2章】「隠していた部分」が、実は“いちばん大事”だった


僕が隠していたのは、

「できない自分」や「障害を持つ自分」だった。


でも、

それを受け入れてくれた人は、

「それでも、あなたがいい」と言ってくれた。


つまり、

僕が隠していた部分こそ、

人と人とをつなぐ“本当の絆”の入り口だった。


完璧だから愛されるのではなくて、

ありのままの不完全さにこそ、真実の愛が流れ込む。


そこに気づいたとき、

「隠すこと」をやめる勇気が、

少しだけ生まれた。



【3章】勇気とは、「強さ」ではなく「そのままでいる覚悟」


「本当の自分で生きる」と聞くと、

すごく強くて、キラキラしていて、

誰にも左右されない存在を想像していた。


でも、現実は違った。


本当の自分で生きるということは、

泣きたいときは泣く。

助けてほしいときは「助けて」と言う。

できないときは「できない」と言う。


それが、いちばん勇気のいることだった。


そして、いちばん優しい生き方だった。



【4章】誰かに好かれるための人生を、やめてみた


僕は長い間、

誰かの期待に応えるために生きてきた。


失敗しないように。

変だと思われないように。

迷惑をかけないように。


でもその人生は、

どこかずっと、“借り物の人生”だった。


「こう思われたい」

「嫌われたくない」

そんな気持ちが、

“本当の自分”を閉じ込めていた。


だけどある時、

“自分を生きる”という選択肢が目の前に現れた。


最初は怖かった。

でもそれは、世界が変わる最初の一歩だった。



【5章】“あなたのままでいい”という光


本当の自分で生きようとするとき、

必ず誰かの助けがあった。


「あなたのままでいい」

その言葉を、目で伝えてくれた人がいた。


声に出さなくても、

ただそばにいてくれるだけで、

僕の魂は「ああ、いいんだ」と安心して泣いた。


それが、僕にとっての

“勇気の根っこ”になった。



【結び】


本当の自分で生きるということは、

 世界で一番優しい革命


何かを足すのではなく、

何かを演じるのでもなく、

ただ、「今の自分を、そのまま差し出す」


それが、いちばん美しい生き方だと思う。


僕が高次脳機能障害を抱えながら、

その旅の途中で出会った言葉、愛、涙、沈黙。

そのすべてが、

僕に**「本当の自分で生きる勇気」**を教えてくれた。


そして、これから出会うすべての人へ、

この言葉を手渡していきたい。


「あなたのままで、生きていいよ」