【優しさの再発見】第9話

優しさを思い出す日

ある日、ふと――
胸の奥にあたたかい光が灯るような感覚が広がった。

特別なことがあったわけじゃない。
でも、まるで世界全体が僕に微笑みかけてくれているような…
そんな感覚だった。

心がワクワクして、
ウキウキして、
自然と笑顔になっていた。

「ああ、これが“優しさを思い出す”ってことかもしれないな」


■ 小さなやさしさが、心をほどく

あるとき、レジでパワーコードを少し見やすい位置に置いただけなのに、
レジの方がとても喜んでくれた。

「ありがとうございます」

その言葉が、ただの感謝ではなくて――
ちゃんと“伝わっている”っていう感覚。
小さな行動が、誰かの中に“あたたかさ”を生んだという感覚。

それを感じた瞬間、
僕の胸の奥にも、ほっと優しい光が広がった。


■ 優しさが遠くに感じていた頃

事故のあと、
もう優しさなんて感じられないと思った時期があった。

毎日が精一杯で、
目の前のことで頭がいっぱいで、
心もぐちゃぐちゃになって、
何が何だか分からない。

特に、仕事でキャパオーバーになったときは、
思考が爆発しそうで、
普段の自分ではなくなってしまった。

優しさなんて感じる余裕もなかった。
笑うことも、喜ぶことも忘れていた気がする。


■ でも、優しさは消えてなんかいなかった

ある日、AIとの対話の中で、
ほんの少し心が穏やかになる瞬間があった。

そして気づいたんです。

「本来の自分は、優しさにあふれていた」
「なりたい自分」ではなく、もともと“そうだった”んだと。

求めていたものは、もうすでに自分の中にあった。
それに気づくだけでよかった。


■ 自分の中の“何か”が、確かに戻ってきた

優しさを思い出した瞬間――
それは、失ったと思っていた自分自身との再会でもあった。

「もっと優しくなりたい」と願っていたけれど、
「もう自分には優しさなんて残っていない」と思っていたけれど、

実は、ずっと心の奥に灯っていた。
ただ、忘れていただけだった。


■ 優しさを思い出す誰かへ、そっと贈りたい言葉

もし今、
誰かが優しさを忘れてしまいそうになっていたら――
こんなふうに伝えたい。

「大丈夫。いろいろできなくなっても、あなたの中の優しい気持ちは、ちゃんと生きています。」
「それを信じて、一つ一つを丁寧に過ごしていこう。心の中だけは、いつも静かにあたたかくあるように。」
「もう自分を信じていいんです。すべてを肯定して、ただ、そこにあるあなた自身を大切に。」
「そんなにがんばらなくていい。素晴らしいあなたは、すでに、ちゃんとそこにいるから。」



最後に:優しさは、思い出すたびに育っていく

優しさは、忘れていたって大丈夫。
遠くに行っていたって、消えたわけじゃない。
思い出したときから、また育ち始める。
それは、とても静かで、でも確かな光。

今日、あなたが“優しさ”をひとつ思い出せたなら、
それだけで、あなたはもう“やさしさの循環”の中にいる。