失語症の日の想い
退院がゴールではない
「STがいないんだよね」というのは、病院を退院する患者さんの支援に必ず直面する悩みで、私を含め同僚のSTたちの大きな壁でした。在宅領域で頑張るSTさんも、もちろんたくさんいるのですが、圧倒的に、ニーズに対して数が少ない。そして、支援のバリエーションも少ない。退院後に、病院でやっていたリハビリと同じことをしていてもあまり進展がないでしょうし、かといって、家庭での生活も社会復帰も、ひとそれぞれ様々な言語環境があるのに対して、どんな支援が必要で、何ができるのかということが、なかなか柔軟に行き届いていないのが現状です。
このままではいけない、と強く感じさせてくれたのが、馬渕さんや早野さんといった、実際に私が担当した患者さんたちとの出会いでした。
それぞれご自身の苦しい状況や、悔しい現実に必死に向き合い、受け入れ、同時に、一歩ずつ何とか踏み出そうと堪え努力しておられました。そんな様子を見ながら、このまま病院で患者さんが来るのを待っているだけでいいのだろうか?と感じるようになりました。
馬渕さんも、早野さんも、それぞれ主治医は違いましたが、幸いなことに非常に療法士に信頼を寄せてくれる方たちでしたので、病院での治療という枠組みに、比較的じっくりと向き合うことができたように思います。ただ、同時に、主治医の先生をはじめ、急性期のチームが、必死に命をつなぎとめ、回復期のチームが、在宅復帰をサポートし、さあ、ここから次のステージが始まるという段階で、急に先が見えなくなってしまうのです。
退院することがゴールではないんですよ、とは、私たちがよく口にする言葉ですが、それは、私たちにも問われている問題なのではないかと感じます。
退院し、緻密な医療や介護の枠組みから卒業し、いざ復職、いざ復学、いざ社会活動に参加しようというリ・スタートをきった時にこそ必要な支援があるのではないか。
そう思って、病院とはちがう、新たなフィールドで、今度は自分が患者さんの生活の場に赴いてお手伝いしたいと思ったときに出会ったのが、西村先生と、西村先生が主催するオンライン言語リハビリでした。時間と、場所の壁を大きく乗り越えるリハビリのスタイルは、対面では難しかった、さまざまな可能性を感じています。もちろん、対面に比べて不便なこともありますが、私自身は、対面とオンラインは、競合するものではないと考えていて、それぞれの持ち味を活かして、支援に加わることができたら良いと思っています。
仲間に入れてほしいと門をたたいたら、あれよあれよという間に渦の中心近くまでまきこまれている、このスピード感とエネルギーに、毎日目が回りそうではありますが、今までにはない様々な気付きや出会いに満ちあふれています。
私も、オンライン言語リハビリは始めたばかりです。
だからこそ、利用者の皆さんと一緒に、よりよい支援、よりよい企画を送り出していけるのではないかとワクワクしています。
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