「え? ご家族が障害を持っているわけでもないのに、支援しているんですか?」

随分な質問ですが(笑)本当によく聞かれます。この「福祉」という世界では、医療職以外で、当事者会を開いたり、啓発のイベントを開いたりしている人間は、障害に直結した人だらけなのです。息子が失語症、父が失語症、そういう人たちが、社会に関わる方法を手探りで探しながら、当事者同士、当事者家族同士で、地域でこつこつ活動している。何もかも自力、手弁当。そういう世界なのです。でも最近、私のように、何の縁もない人間が支援者側に立ち上がる光景が増えてきました。

  知ってしまった人間として

「知ってしまった者の責任」という言葉があります。私は3年前、『知っといてぇや これが高次脳機能障害者やで』の編集を頼まれるまでは、高次脳機能障害も失語症も知りませんでした。知れば知るほど、社会的認知度の低さ、ケアの少なさに憤りを感じます。

失語症の人の中には「いやいや、ほっといて」とおっしゃる方もいます。でも、私は一人の人間として「あ、そうですか」とできない。無視できない。知らなかったことにできない。

私にできることと言えば、文章を書く仕事で得たスキルを啓発に活かすこと、あとは、ちょっぴり動画編集ができるので、オンラインイベント時に手伝ったり、意外と力持ちなので当事者会で椅子を運んだり、へたっぴだけど歌の伴奏でギターを弾いたり(笑)

なんでもいいから、役に立ちたい。そういう衝動で動いています。

今日紹介する人たちも、失語症の日を機会に知り合った方たちです。さあ、あなたも「知ってしまった者」の楽しい仲間になりませんか?