今月EU欧州委員会が、15歳未満のSNS・オンラインゲーム・生成AIの利用を大幅に制限する方針を表明しました。
学力低下、睡眠不足、不安症、自傷行為といった児童生徒が急増していることが大きな理由とのことです。
EUだけではなく欧州各国も、ここ数年で学校でのスマートフォンやタブレットの使用禁止、時間制限を設けるなどの措置を講じ始めています。
私のいるセルビアでは、デジタル教材の使用についてはまだ学校裁量となっていますが、いずれEUの流れを受けてデジタル端末やSNSの使用を制限する方向に動いていくと見ています。
ドイツでは、OECDによる国際学習到達度調査(PISA 2025)のスコアが大幅に低下し、その大きな原因の一つがデジタル端末やSNSの急速な普及による読解力や持続的思考力の低下だと分析されています。
一方日本では、同じPISA 2025で科学・数学・読解の主要3分野で世界第1位を獲得しました。
これは非常に喜ばしいことですが、日本では2030年度からデジタル教科書が導入されることが決まっています。欧州の脱デジタル化とは真逆に進んでいます。
また日本の児童生徒のデジタル機器やSNS利用時間の増加に比例して、睡眠不足、視力低下、姿勢悪化、自己肯定感の低下、人間関係のトラブル、犯罪に巻き込まれるリスクも増加しているとの調査報告も存在します。
日本がせっかく現場の教職員の工夫や努力、紙ベース、具体物ベースの優れた教材教具のお陰で世界の首位に立っているのに、敢えてデジタル教科書や授業でのAI活用を取り入れる必要性はあるんでしょうか?
最近アメリカではAIの台頭を予測し、ホワイトカラーからブルーカラーへの転職者が増加しているそうです。
ブルーカラーの価値が高まり、市場原理が働き、転職者の中にはホワイトカラー時代よりもブルーカラーの現在の方が年収が上がったという者も現れ、逆転減少が見られています。
日本ではここ数十年で農業、林業、水産業、製造業、エッセンシャルワーカー等の基幹産業で慢性的な人手不足が起きていますね。
特に農業と水産業は国の食糧自給率、食糧安全保障にも大きく関わり、食糧生産の衰退は国の衰退にも直結する大きな問題です。
しかしそういった危機感とは裏腹に、日本ではアメリカのようにホワイトカラーから基幹産業に転職する人材はまれです。
そうなると、義務教育段階から国の基幹産業やエッセンシャルワークに憧れや誇りもしくは課題意識を持たせ、
地元に残って、あるいは一定期間を経て地元に戻り、地域産業を支える若者を増やすしかありません。
それには、地域産業の体験学習、地域の偉人を中心とした歴史や生き方学習に重きを置く教育が不可欠だと思います。
その学習はデジタルではなく、飽くまで実地体験や一次資料がベースになるんじゃないでしょうか。
しかし今の日本の教育はそれとは逆行しようとしています。体験よりもデジタル、深い思考よりもAI活用。
これでは、真の学力はおろか、汗水垂らして働く尊さ、先人の苦労を理解するのは難しいでしょう。
私はデジタル社会やAI活用を全否定している訳ではありません。
義務教育段階で児童生徒が学ぶべき大切なことが他にあるということを述べています。
デジタル端末やAIは義務教育段階を経てからでも十分学べます。
究極を言えばファミコンと同じで、取扱説明書なんか見なくてもそれで遊んでいれば上手になるし、そのうちマニアが現れて研究開発に進む人材も現れます。
むしろそういった人材を伸ばし、世界で活躍できるような高等教育機関、研究機関を備えることの方が重要だと考えます。
また英語とも似ていて、児童生徒全員が将来英語を使う仕事に就く訳ではありません。
英語を使ったキャリアを目指したい人は、自分外国語専門の高等教育機関や語学学校に進んだり留学したりします。
残念ながら、今の日本は欧州の脱デジタル教育から周回遅れの状態です。
今回の内閣改造では奇しくも文部科学大臣とデジタル大臣が代わり、無理矢理にでもデジタル教育を進めていこうとする意図さえ見てとれます。
将来の日本を担う子供たちの学力、心身の健康、そして日本の産業構造と安全保障を考えた時、今の子供たちにどのような教育をするのがベストなのか、一度立ち止まって考えるべきだと思います🤔
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