人柱レポート:タナカ製9ミリWキャップカートについて | 黄昏オヤジの暴発日記

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退職後の第二の人生を手探りで進むオヤジのモデルガン+独り言。黄昏に染まりながら気まぐれに発火しつつ、この世の由無し事に毒を吐く(令和4年5月20日・タイトル一部修正)

 さて、今回は当の本人も予想だにしなかった人柱レポート

 テーマは「タナカ製9ミリWキャップパラベラムカート」

 動画はありません。あしからず

 

 しばらく前、タナカからSIGP226シリーズ用のWキャップカートリッジが発売された。以前発売されたDE50用のWキャップカートは大変具合がよろしかったことから、今回も同様だろうと信じ早速買い求めた。

 ただ、これが高い!7発で6,000円余り。2マガジン分揃えようと思うと、専用デトも併せて25,000円近くになる。完成品のモデルガン1挺分くらい。随分悩んだが、たまたま小金が入ったので思い切って買った。4セット28発一気に大人買い!

 ・・・この浅慮な行動が人柱レポートの発端であった。

 

 で、試した。モデルは「SIGP226Mk25(エボリューション2)」。昨年年明け早々に購入し、動画もアップした快調モデルである。

 ぴかぴか光る新品カート28発に、ちまちまとキャップ火薬(56発!)を詰め(実に面倒くさい)、スペアマガジンも用意。14発+14発を一気に連射!「ドン!ドン」と野太く圧力のある発火音、「オオ、強烈!」っと思ったら・・・、駄目だった(>_<)

 なぜか?

*これが9ミリWキャップカート。

 本体モデルのファイアリングピンがWCC-5「アンビル」を叩く。叩かれたアンビルはその上にセットされた後部キャップ火薬とともに前進、WCC-3「プラグB」に激突し発火。発火ガスは「プラグB」の中を通り前部キャップ火薬を発火させる。ほぼ同時に発火した二つのキャップ火薬のパワーは、前部キャップとWCC-2「プラグA」を激しく前方へ押しつつ、前部キャップに穴を開ける。

 という感じで動くのだろう。

 ちなみにこのカート、発火ピンの役目の「プラグB」はWCC-1の弾頭部にはまり込み不動なので基本的にサイドファイアモデルでは使えない。

 パワーが強烈すぎるのである。まず頻繁にスライドストップがかかる。そしてスライドがフレームから外れそうになる(特に左側)。確かに発火音は大きいが、とても連射どころではない。まいってしまった。

 

 私の手元にあるWキャップカートリッジはエランのDuoとこのタナカのものしかない。

 エランのカートは、インナーを動かすブローバック作動用の7ミリキャップと、音や発火炎といったマズルからのアクション用の5ミリキャップがインナープラグの前後に分かれてセットされる。だから、ブローバックに使われるのはあくまでキャップ火薬1つだけ。仮に5ミリキャップ火薬が不発でも7ミリが発火すればちゃんとブローバックするし、反対に7ミリが不発だと5ミリが発火しても当然ブローバックしない。

 しかしこのタナカのカートは同じスペース内で二つの7ミリキャップをほぼ同時に発火させる。当然そのままではパワーが過剰になるはず。そこで私は最初、インナープラグのサイズやストロークなどを工夫し、過剰なパワーを逃がしつつ、その逃がしたパワーをマズルからのアクションの方に回すことで迫力ある発火を実現しているんだろうと思った。

 がしかし、実際には最初に述べたようにパワーは強烈。なぜなのか。何度かパッケージやモデルを確認したがいずれも「エボ2」で間違いない。

 私のP226に限った問題なのだろうか?他の皆さんは大丈夫なのだろうか?

 

 少し調べてみた。

 調子のよいDE50のWキャップカートでは、Wキャップカート用デトネーターの長さとシングルキャップカート用デトの長さを比べると、W用の方が短い。シングル用が約26.5ミリのところW用は約19.5ミリ。この差約7ミリは、すべてカートストッパーからデト先端までの距離の違いである。つまりDE50ではインナープラグのストロークを短くしてWキャップのパワーを調整しているんじゃないかと思う。(なお、この点に関しては昨年9月9日の「ダブルキャップを楽しむ」を参照いただきたい。多少計測値が異なるがより詳しく計測している)

 翻って9ミリ用のデトを見てみると一目瞭然。長さは全く変わらない。太さだけはシングル用が約2.4ミリのところW用は約3.4ミリと1ミリほど太くなっている。う~ん。これだと、あとはインナープラグの形状だけでパワーを調整していることになるが…。

 どうなんだろ、もしかしてタナカさん、あまりパワー調整など意識していないのかも。「うちのモデルはこれくらいのパワー、ちゃんと吸収しますよ」っていうことかな?

 すいませんタナカさん。私のP226は遠慮しときます。

*下はP226用デトネーター。上がシングル用で、下がW用。いずれも向かって右側の細い部分がカート内に入る。ストロークは同じである。

*これはDE50用デトネーター。やはり上がシングル用で、下がW用。シングル用はハドソンに合わせるために少し加工しているが長さは変わっていない。見てお分かりのように明らかにストロークが違う。

 

 しかし困った。とにかく今のままではまともに連射ができない。このカートを使用し続けるならば何か善後策を考えなければならない。だめならオクに出すしかない。

 そこで、マルシンのPF方式を真似、フロント側に撃ち空キャップを入れてみた。なんとこれがうまくいった!もちろんシングルなので発火音はWキャップに比べて小さいし、もともとの5ミリキャップ仕様のパラカートに比べてもおとなしい。ちょうどセンターファイアのPFカート並み。もちろんちゃんと空キャップにはガス圧で穴が開き発火音とガスは抜ける。まだ5連射しか試していないが、実に軽やかに動く。Wキャップカートや5ミリパラカートのビシッっとした鋭い動きでなく、本体に優しげなところがうれしい。パワーは5ミリのパラカートよりもマイルドに違いない。ラッキーである。

 

 勝手な思い付きだが、フロント側のインナープラグをマルシンの新旧PFカートのものや「爆音プラグ」に変えたり、あるいはキャップを重ねる、ワッシャーを挟んでみる等々の方法もあるかもね。うまくすればWでも問題なく動くようになるかもしれないし、他のモデルにも流用が可能かもしれない。真ちゅう製のカートより軽いアルミカートだから、モデルにも優しい。

 とにかく、最初は金をどぶに捨てたかと思ったが、思いもよらぬ形で利用できるとわかりホッとしている。

 

 タナカ製のモデルではこのほかグロックとUSPがある。

 つい最近、グロックについて、エボ2「改」モデルにはこのWキャップカートが使用可能となっていた。アナウンスを見ると「改」モデルは内部パーツなどが一部強化されている。Wキャップカートのハイパワーに向けた対策かな。

 いずれにしろ、上で説明したシングルで発火すれば通常のエボ2モデルでも大丈夫じゃないかな。オリジナルのパラよりもマイルドなんだから。ただ、専用デトネーターは必要だけど。

 …USPはどうするんだろう。

 

 当初の見込みとは全く違う展開となってしまい動画も紹介できなかったが、反面、面白い結果となった。わざわざ高いWキャップカートを買ってシングル発火することもないかもしれない。でも、パワーがマイルドでカートも軽いとなれば、モデルに優しく、それはそれで価値がある。5ミリではなく、7ミリキャップが使えるところもメリットかも。迫力が欲しい時はちょっぴり粉を使えばいい、なんちゃって(^^;

 

 教訓:浅はかな大人買いは事故のもと

 PS:タナカさん、間違ってたらごめんなさい。たくさん製品買ったから許してください。