「茉子ちゃん、こっちは拭き終わったで。そっちは?」

「こっちも拭き終わったよ。流ノ介、千明、この棚、元の位置に戻して」

「わかった。千明、そっち持ってくれ」

「了解……って、やっぱ重いな、これ。二人じゃ無理か?」



年の瀬も迫ったある日。

志葉家では大掃除がおこなわれていた。

屋敷のあちらこちらで忙しく動き回る黒子達の中。

屋敷の片隅にある、物置の倉を掃除する若き侍達。

そしてその中心には……

「俺がこっちの角を持つ。千明と流ノ介はそっち側を持ってくれ」

いつもと変わらぬ表情……だが、どこか楽しげな志葉家当主、丈瑠の姿。

少し前だったら流ノ介が、

「殿!! このような事、我々だけでいたします!!」

と、騒いでいた事だろう。

だが、今では流ノ介も、他の仲間達も、丈瑠のこのような姿を極自然に受け入れていた。

志葉家当主と四人の侍達。

彼らの繋がりは「主従」から、本当の意味での「仲間」へと、姿を変えつつあった。



倉の掃除がほぼ終わり、時刻も昼時にさしかかる頃。

「よ! みんな頑張ってるか? 差し入れ持ってきたぜ!」

源太がオカモチを持って倉の入り口にヒョイと姿を見せる。

「わぁ!! お寿司やぁ!!」

オカモチの中を見て喜びの笑顔を見せることは。

「じゃあ、そろそろ昼にするか?」

言いつつ、汗を拭きながら倉を出る丈瑠。

それに続く侍達。

最後、茉子が倉から出ようとした瞬間。

「ん?」

ある棚の荷物の隙間から何かがハラリと落ちた。

「これは……」

拾い上げてみると、それは写真だった。

やや色あせた写真。

それに写っているのは……






「ふ~食った食った」

満足そうな声をあげる千明。

屋敷内のいつもの部屋。

源太の差し入れた寿司を平らげた侍達は、ゆっくりとくつろいでいた。

そんな中、茉子が、

「あ、そういえば、さっき倉で拾ったんだけど……」

言いつつ先ほど拾った写真を取り出し、丈瑠に渡す。

「この真ん中の男の子……もしかして、丈瑠?」

その言葉に反応した他の面々が、すぐさま丈瑠の背後に集まり、肩越しにその写真をのぞき込む。

その写真には、5人の若者と一人の小学生くらいの少年が写っていた。

「あ!! ホンマや!! 殿様カワイイ!!」

確かに、その少年には丈瑠の面影がある。

その写真を懐かしそうに眺める丈瑠。

「そうか……あんな所にあったのか……」

ふと、流ノ介が問う。

「殿……この5人は一体……?」

少年・丈瑠の後ろで笑顔を見せる4人の青年と1人の女性。

歳は皆、今の丈瑠や流ノ介達と変わらぬくらいのようだが……。

千明がつぶやくように言う。

「先代のシンケンジャー……なわけないよな」

確かに、顔ぶれがそれとは違う。

丈瑠は写真を眺めながら答えた。

「強いて言えば……俺のもうひとつの『家族』……かな?」

「もうひとつの……家族?」

茉子が聞き返す。

「ああ……ほんの少しの間だけだったけどな……」

丈瑠の脳裏に甦る、五人の背中。

そして……

一人の青年からさしのべられた、おおきな手。



そうだ……

俺はあの人達に教わった。




『明日』を……




侍戦隊シンケンジャー番外編 「明日への約束」


---第一幕へと続く---





というわけで。


一週間の漏電期間……もとい、充電期間を終えまして、再び執筆再開です。


今回は丈瑠三部作の第一部にあたる「丈瑠・少年編」!!


写真に写る五人の若者の正体とは?

丈瑠が教わった『明日』とは?


どうぞご期待ください!!