北海道運輸局殿に招かれて下記内容の講演会に参加してきた。


地域のスキー場の活性化に関する検討プレ委員会

 日時:2007年3月26日(月)13:30~16:30
 場所:北海道札幌 ロイトン札幌2F「ハイネスC」

 講演:Ⅰ「スキー場の現状と地域のスキー場の今後」
                       下 江  達 也
     Ⅱ「外国人からみた北海道のスキー場」
         NOASC 代表取締役 ロス・カーティー氏


(講演中のロス・カーティー氏)
ロス・カーティー氏は現在のニセコのオーストラリア人人気を作った「二人のロス」の一人。彼がまだオーストラリア人がニセコに居なかった18年前にやってきてスキー場のパトロールのアルバイトからはじまって毎年冬にはアルバイトでやってきてはシーズンオフにまわりの人にニセコの良さを伝え友人を少しずつ連れてくるようになってから現在のニセコの状態に至る話は個人的にはその発展過程を確認でき興味深かった。
また、現在ロス・カーティー氏はアウトドアの部門だけでなくバー、旅行代理店、不動産業まで事業を拡大しているようだがその分外国人観光客やニセコにおける外国人の不動産投資の内容などは現状を知る一助となった。
講演内容の一部としては、


オーストラリアのお客さまが北海道を選択する理由
 ・パウダースノー
 ・雪の量が多い
 ・AUS$が強い(コストが安い)
 ・治安がよい
 ・日本人が親切
 ・スキー場が混んでいない
 ・他の外国人が少ない
 ・交通の便がよい
 ・日本文化・日本料理
 ・時差

やはり聞いていたとおりオーストラリア国内はバブル気味でインフレ傾向で滞在のための宿泊費が換算レートで毎年5%くらい下がっているという要因は大きいようだ。現在ファミリーのお客さまが増えてきてその意味で「治安」が上位に上がっているようだ。「交通の便」とは入国後の「二次交通」でありやはりニセコがここでも優位にある。「時差」は意外に低いのは意外だった。


アジアのお客さまが北海道を選択する理由
 ・パウダースノー
 ・雪の量が多い
 ・米・ヨーロッパより高くない
 ・安全・日本人が親切
 ・スキー場が混んでいない
 ・旅行・スキーブーム
 ・簡単なアクセス
 ・日本文化
 ・時差

ニセコにおいては今シーズンなどは現地で聞いてもアジアを中心としたオーストラリア以外の外国人も増えているようだ。今回紹介された現状としてはニセコを訪れる外国人全体の約20%が「アジア」であり、約10%が「ヨーロッパ」だった。「旅行・スキーブーム」というのは「中国・香港」のこと。

その他、中国を中心としたアジアの経済発展のため外国人の駐在員が増加しているが「ユーロ高」と「移動時間・時差」の問題もあり休暇をヨーロッパで過ごすのではなく北海道、ニセコが選択されたという話は今後のインバウンドを考える意味でも興味深い。
初めて来る時はペンションやホテルでも良いがリピーターとなると友人を誘ったりファミリーで来るようになるのでリビング的にみんなで集まれるスペースが宿泊施設に欲しい、そのためにニセコではコンドミニアムが好まれその建設が多くなっている、という流れのようだ。

オーストラリアのスキー場の話も画像を多く使い説明されたが標高が低く雪が少なく人工降雪機で対応しているようだ。そのため北海道の雪質や雪の量が好まれるようだ。山麓エリアは欧米型のスキー場と同じくヴィレッジの形成があり多くのレストランやバーなどがありヴィレッジの形成がニセコと似ていることもオーストラリア人に違和感がないと言うことだった。



今回の講演会は北海道運輸局で「地域のスキー場活性化」を探る委員会を設立するに先立ってプレ検討会ということで開催されているがそのため委員の皆さんが前方でコの字型に囲み、その後ろで一般の参加者の方が傍聴する、というスタイルになっているが事務局によると思った以上にギリギリまで参加の申込があり会場内は盛況だった(大規模スキー場関係者も多い)。またマスコミも何人か入りTVもNHKと民放のカメラが2台入っている状態だった。

最後の質疑応答も思った以上に活発となり委員として参加している元デモの我満 嘉治氏が急遽回答する場面も。(左画像)

北海道スキー連盟の常任理事の三品 章男氏からは北海道スキー連盟ではインストラクターがボランティアで対応する組織が作られていたり(現在活動のために調整中のようだが)、定年退職した1級2級を持っている人たちを組織して子供たちを教える組織が作られたことを紹介されたが非常に興味深くまた詳しくお話しを伺う機会を作りたい。
降雪地域においても子供たちのSNOW離れが進んでいる実態があるがその要因のひとつにスキーを指導できる教職員が少ないという問題がありその解決策のヒントになりそうだ。


北海道は官民の「連携・コミュニケーション」の良さを昨年の講演会の時から感じていたが今回は運輸局の多くの方々と講演後フランクにいろいろ話をする機会を得たが、その前向きさ熱意のようなものを感じたがそれが結果民間の人たちなどとの「連携・コミュニケーション」の良さに繋がっているのだろうと考える。
本州では官との連携というとその土地の自治体がメイン(それさえも「連携やコミュニケーション」が悪いのが現状だが)で県との連携が少しあるくらいだが北海道の例のように直接本省が絡む例は聞かない。この他のエリアに見られない「連携・コミュニケーション」が現状の「北海道の観光」の強さのバックグラウンドであり今後もそれが維持されそうだと感じる。